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  • Photography: Norio Kidera
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フィーカの時間にいらっしゃい! Swedish Coffee Break

, 2017/12/12

「フィーカをひと言で説明するのは、すごく難しい……いろんな意味合いを含んでいるからね」。

フィーカって何? とよく訊かれるスウェーデンの人たちは、その問いにたいていこう応える。直訳すると「お茶の時間」であるフィーカは、彼らにとっては言葉というよりも文化そのもの。多くのニュアンスを含んでいて説明が難しいけれど、この国のことをフィーカなしには語れない。ずっと昔から人々の生活に組み込まれてきた慣習であり、どこかアイデンティティのようでもある。そして、誰かがこの言葉を口にするときにはいつも、とてもいい空気が流れた。

スウェーデンの人々は、一日のうちに何度もフィーカをする。ひとりで、友人と、同僚と、子どもと、恋人と、仕事相手と。朝10時と午後3時の2回がフィーカのポピュラーな時間帯で、そう決めている人もいれば、いつでも何度でもという人もいる。このとき、よく飲まれるのはコーヒーで、一緒に甘いパンやお菓子を食べる。けれど、それが紅茶やハーブティ、サンドイッチであってもいいし、飲み物だけで何も食べないことだってある。

ある人にとっては、慌ただしい日常のなかで親子の時間を意識的につくるための言葉であり、会話がなくても仕事が成り立つような職場では、フィーカは同僚とコミュニケーションするための大切な時間になる。デートよりもラフに気になる女の子を誘いたいときにも、ぴったりな言葉だという。

そして、前々から時間を約束するようなものではなく、ちょっと空いたときに「フィーカしない?」と誰かを誘う気軽さが本来のニュアンスだ。けれど、ここ数年では「フィーカ・アポイント」といって、仕事の重要なミーティングにフィーカをするといい関係性やいいアイデアが生まれる、とビジネスシーンでよく使われるようになった。そこからさまざまな場面でソーシャルな意味合いをもつようになってきたのだという。

こうして古くから続く文化でありながらも多様なニュアンスが含まれたフィーカは、そもそもいつどのように始まったのだろうか。2015年にフィーカの本を出版した著者のひとり、アンナ・ブロンズに投げかけてみた。
「いつからフィーカが始まったのか正確にはわかりませんが、もともとは“カフェレープ”という女性たちのお茶文化が変化したものでした。カフェレープとは、1930年代に生まれた、子どもや夫がいない時間帯に女性たちが家で集まってお茶を飲みながら世間話をする習慣。女性たちの文化だったので、テーブルクロスやカップ選びも重要で、客人を迎えるのに7つのお茶菓子が必要だというしきたりのようなものも生まれ、誕生日やお葬式でも行われるようになりました。やがて時代とともに働く女性が増えたことで、この習慣はなくなっていったのですが、それに変わって“kaffee”を逆に読んだ“faka”というスラングがフィーカとなり、女性だけでなくあらゆるシーンで休憩することを尊重する言葉として使われるようになりました」

さて、スウェーデンを代表する陶芸家であるリサ・ラーソンもまた、フィーカを愛するひとり。画家で夫のグンナルさんとの夫婦の日課は、チェスで一戦交えることと、フィーカをすることなのだそう。暖かい日は、家の庭のリンゴの木の下で。誰かが訪ねてくるときには、いつも「フィーカの時間にいらっしゃい」と、いくつかのお菓子を用意する。
 この日のお菓子は、フィーカならではのシナモンバン、カルダモンバンと、アップルパイ、ケシの実のパウンドケーキ。リサ自身がグスタフスベリ時代にデザインしたというカップ&ソーサーに囲まれたとてもチャーミングなフィーカのテーブルには、スウェーデンの人々がなぜフィーカを大切に思うのかが描かれているようにも見えた。
 
*写真は、2017年夏、写真家の木寺紀雄氏がストックホルム郊外で暮らす陶芸家、リサ・ラーソンの自宅を訪ねた際に撮影されたもの。ともにフィーカを楽しみながら過ごした時間が記録されている。

» PAPERSKY no.55 SWEDEN | FIKA Issue

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