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小豆島遍路 Day2 | 海と山をつなぐ遍路道、ダイナミックな起伏を行く

今日は島の北側を攻める25kmの旅。朝8時、今日の案内人、いのうえただひろさんと落ち合った。いのうえさんとは昔から親交のあるルーカス曰く、彼は「ミスター・小豆島」。この島のちょうどいい空気感、さりげないおもてなしの心を体 […]

06/20/2017

今日は島の北側を攻める25kmの旅。朝8時、今日の案内人、いのうえただひろさんと落ち合った。いのうえさんとは昔から親交のあるルーカス曰く、彼は「ミスター・小豆島」。この島のちょうどいい空気感、さりげないおもてなしの心を体現してくれる、島のキーパーソンである。
ふたつ目に訪れた松林寺では、ご隠居さんと一緒に般若心経をあげる。梅林と水仙の花に彩られた、桃源郷のような小さな寺で一行の心を打ったのは、この寺に息づく美意識だった。曼荼羅を意識した砂絵、空間の余白にさりげなく飾られた野の花。檀家がつくったのであろう、淡色の千羽鶴もまるでアートオブジェのよう。いずれも絵心のあるご隠居が趣味で花を育て、しつらえているのだとか。
その先の四海地区には古い家々が連なり、古きよき港町の風情を今に伝えてくれる。町の生活道がそのまま遍路道になっており、細い路地を歩けば島の営みを垣間見ることができる。たまたま前を通りかかった造船所では、白装束の一行に焼き芋のお接待が。これも遍路旅の醍醐味だ。
本日のハイライトは、標高300mほどの岩山に築かれた山岳霊場、第72番奥の院の笠ケ瀧。ゴツゴツとした岩場を鎖で一気に登れば、洞窟内にしつらえた本殿に至る。まさに山岳修験の趣! 道中には見晴らしのいい展望台もあり、この稜線歩きはふたりのお気に入りのルートになった。
山を下り、第73番霊場の救世堂で宿に用意してもらったお弁当を広げる。あとはひたすら海岸沿いの県道を歩き、今日のゴール地点、小部に向かう。明日はいよいよ前半のクライマックス、豆坂超えだ。険しい山道に思いを馳せながら、のんびりと瀬戸内の夕日を眺めたのだった。
» PAPERSKY #53 SHODOSHIMA | HIKE Issue