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  • Takeo Okuma

萬古焼オルタナティブ|PAPERSKY japan club

, 2016/10/26

名古屋から近鉄線に乗って1時間弱。愛知県を越えてお隣三重県に入り、川原町という駅で降りる。10分くらい歩くと古い建物に黄色く塗られた帯状のサインが見えてきた。本日の目的地、萬古アーカイブデザインミュージアムである。

「萬古」と聞いてすぐに反応できる人はかなりの器好きか四日市出身の人だろう。萬古すなわち萬古焼は明治期より三重県四日市市の地場産業として発展した陶磁器のこと。昭和54年には伝統工芸品の指定も受けていて、元は江戸中期、四日市に隣接する桑名の豪商であった沼波家の沼波弄山が、茶道趣味が高じて萬古焼を開窯したのがはじまりだそう。

萬古焼のミュージアムといってもただ時系列に沿ってやきものが並んでいるというわけではない。この小さな美術館の大きな魅力は、四日市を拠点に活動し、当代きっての人気と実力を兼ねた陶芸家の一人である内田鋼一さんが自ら企画し、誕生した美術館であることだ。

内田鋼一さんといえば、その広範な手法を駆使してつくる多様な器の魅力もさることながら、古物のコレクターとしても知られ、既存の価値にとらわれない独自の美意識によって集められたそのコレクションは骨董や工芸のプロからも一目も二目も置かれているほど。この美術館ではそんな「目利き」としての内田さんが20年にわたり集めてきた選りすぐりのものだけが並んでいるというわけである。つまり萬古焼を通して内田さんの「眼」を楽しむ場所でもあるのだ。

江戸時代から受け継がれてきた萬古焼の歴史の中で、内田さんが特に注目したのが戦中戦後の物資が乏しい時代、全国の窯場で生産が管理されていた頃につくられたという「統制陶器」や、金属不足を補うためにそれまで金属製だったものを陶器でつくったいわゆる「代用陶器」。本来は琺瑯製のやかんや洗面器、鉄製のおろし器やガスバーナーなどがとても陶器とは思えないほど精巧につくられている姿は何とも味わい深いものがある。

他にも海外向けに生産されていた色絵花瓶や珍しい陶製のキューピー人形、古美術評論家で井伏鱒二の「珍品堂主人」のモデルでもある秦秀雄が愛してやまなかった萬古焼の作家・笹岡春山の急須など、普段なかなか見ることないやきものを堪能することができる。まだまだ自分の知らなかった魅惑の世界があることに嬉しくなる1日だった。

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name
萬古アーカイブデザインミュージアム
place
三重
address
四日市市京町2-13-1F
link
banko-a-d-museum.com

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