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白神山地、ブナの原生林を歩く

世界自然遺産・白神山地の裾野に当たる秋田県八峰町(旧八森町)には、ブナの天然林を散策できる留山がある。水分を多く含むブナの木は資材としての利用価値が低いとされ、藩政時代にはこの辺りでもブナを切り杉を植林することが推奨され […]

02/21/2011

世界自然遺産・白神山地の裾野に当たる秋田県八峰町(旧八森町)には、ブナの天然林を散策できる留山がある。水分を多く含むブナの木は資材としての利用価値が低いとされ、藩政時代にはこの辺りでもブナを切り杉を植林することが推奨された。ところがブナを切った後、治水の問題が生じて農業に支障が出たことから「環境を守るためここから先、木を切ってはいけない」という意味で名付けられ、守られたのがこの留山なのだそう。
白神山地は、ブナが発生して8000年経つといわれる。その間、毎年落ちる葉っぱは折り重なり、スポンジのように柔らかい土壌を創り上げる。そこへ降った雨はすぐにしみこんで蓄えられ、雨が降らないときには少しずつにじみ出て、湧き水や川となる。だから大雨の後でも、川の水かさが急に増すこともなければ、夏場に湧水量が減ることともない。
太古の姿を残すブナの深い森、山菜、熊の爪跡やカエルの卵、さまざまな種類の植物を一つ一つ指差しながら、取材班を案内してくれたガイドの秋田豊さん。その年齢にもかかわらず、彼の眼は少年のような好奇心と無邪気さで輝き、その口からは、周りを囲む水田や山々の風景と同じくらい幅広く豊かな話が溢れ出る。その名の通り、彼は全身で秋田の温かさとエネルギーを表現している人だった。
サルにクマ、カモシカも住み、春には新緑が競って芽吹くこの森は、豊かな水を育む森。この営みこそ、後世に残すべき財産だと教えてくれる。留山の散策路は、人が歩く踏圧で土を固めてしまわないよう、遊歩道が設置されている。散策には事前にガイドの予約が必要。
NPO法人白神ネイチャー協会
0185-70-4211
http://www.shirakami.or.jp/~asna/index.html
編集元の記事:Papersky No.14 秋田特集 P.34