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  • SHIMANEPhotography: Keizo Kioku

時が重なる場所、島根|古代、近世・近代、現代(No.16)

, 2009/12/15

島根、そこは歴史の深さと心の余裕を感じる場所だ。古代から続く長い時間の連なりの中で、”今”に生きる島根人たち、そのうらやましいほど贅沢な暮らしぶりは、数年前にたった一度だけそこを訪れたことのある僕の脳裏に焼きついていた。いつかじっくり島根を堪能したい・・・そんな僕の願いが叶って、再び島根に赴くことになった。

そして僕は島根に嫉妬した。

今回の旅で、僕は新たに島根の魅力を発見した。聖なる場所、歴史的建造物、文化・風習、美しい景色、おいしい食べ物、美人、ゆとりのある人々の心・・・この土地が長い年月をかけて育んできたすばらしい遺産の数々がそこには存在する。他の場所では見られない独特な魅力は、挙げ出したらきりがない。そんな島根を僕らは”時”をキーワードにレポートしようと考えた。古代、近世・近代、現代、そして未来と、時代ごとに変わる島根の顔を”時が重なる場所”として捉えてみようというわけだ。

まずは、日本人なら誰もが知る出雲大社を中心とした古代文化の取材をした。多くの神話を生み出し、今でも聖なるエネルギーが溢れる出雲大社。ちょうど神在月(島根以外の地域では神無月)で、全国の神々が出雲大社に集まっているとのこと。その期間は神様たちが出雲に滞在し、年に一度の大会議が開かれているのだそうだ。目には見えないけれど、確かにその賑わいは感じられた。幼少期によく大社を訪れたという、建築家で島根県出身の高松伸さん(56ページで紹介)は、子どもながらにその建造物のもつエネルギーに圧倒されたという。また”むすび”のパワーをもつ神々のはたらきがあるようで、結婚はもちろんビジネスや政治の場においても、良縁を願う人々が訪れる場所でもある。

近世から近代にかけて、文化の中心は松江に移行する、松江の近世を築いたファッションリーダー松平不昧公は、茶道をはじめ暮らし全般に芸術的なエッセンスを加え、一見控えめだがしっかりとした主張のある彼なりのスタイルを確立させた。そのスタイルは今でも松江のあちこちで見かけられる。僕らは彼の茶室を眺めながら、彼の好物だったといわれるどことなく品のある和菓子をいただいた。

近代になると、またまた一風変わった人物が松江に登場する。彼の名はラフカディオ・ハーン、小泉八雲である。日本人女性と結婚し、松江と日本を愛した八雲は、肌で感じた日本を彼なりの解釈で外国に伝えるべく、さまざまな文章を残した。八雲が暮らした家で彼の生きた時代を連想し、今、彼がここを訪れたら、どんなことを感じるのだろうかと思いをめぐらせた。八雲が好んだ白小豆の羊羹を食べながら、僕はその時代にこの町を訪れた風変わりな外国人をうらやましく思ったりもした。

そして今回、僕たちは現在の島根を歩いた。長い島根の歴史から思えば、ほんの一瞬である。しかしこうして時の重なりを感じる旅をして、僕はあることに気がついた。”今”とは古代、近世・近代、現代、そして未来までもが凝縮された時なのだということを。歴史的建造物と現代建築の狭間で、僕らは過去から未来へ、そして未来から現在へと自在にタイムスリップをしていたのだ。数日間の滞在中、僕らは過去にも未来にもいた、そう、僕らは時のなかを歩いていたのだ。

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