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セントラルパークにて|NY・アーバングリーン(No.6)

, 2003/07/25

数ヶ月前のある晴れた日、僕はひとりNYのセントラル・パークの入口で、ホットドッグを買おうとしていた。プエルトリカンらしき男の店員が「お前中国人か? 」と聞いてきたので、いや、日本人だと答えると、ふーん、と言って「これ持っててくれる?」と、お店の小さな看板を僕に手渡した。それから彼はゆっくりお店の飾り付けをやり始めた。「何で客が店の設営を手伝うのかなあ」と思ったけど、何となく最後まで、手伝った。その後、公園の広大な芝生の上で横たわり、コロゴ口・ウトウトしながら買ったホットドッグを頬張った。不味い…。

まさに人種の坩堝であるNYマンハッタンのど真ん中に位置するセントラルパークでは、人種、国籍、年齢、性別、趣味志向にかかわらず多くの人々が集い、犬と戯れ、スポーツを楽しみ、デートをしたり、寝たり、おしゃべりしたりしてリラックスしている。そんなこの世の天国みたいな場所で楽しむ人々の表情をぼんやりと眺めながら、僕はやっぱり先の「戦争」の事を考えずにはいられなかった。

この街には、世界中から集まった人たちがいる。お互いのルーツが遣うからこそ、また共通の目的や信仰を持たないが故に、身を守るために、フィクショナルな「ネイション」というものにこだわらざるを得ない人たち。しかし、「ネイション」というものが元来フィクションであるならば、もっとみんなの想像力によって、より良い、よりみんなが過ごしやすいフィクションを紡いでいけはしないだろうか?

想像による創造…なんて、とんだクリシエになってしまったけれども、そう思ったのは、このセントラル・パークこそがまさに市民の声や希望を取り入れ、彼らの生活のために設計された素晴らしい「人工庭園」だからだ。世界がこんなふうに作られたら、とは甘い幻想かも知れないが、リアルな現実を見るだけでは何も変わらない。ウソとか夢とか幻とか思い込みとか勘違いとか何でもいいけど、そういうものを想像する事一「ロマン」こそが、人の心を動かす事ができるのではないだろうか?

…そんな僕の「思い込み」も含めて作られたのがこのイシュ一。だから、見て、読んで、楽しんで欲しい。毎日のようにNYの公園を巡って撮り続けたフォトクラファーの写真を、エコロジー・マップのアイデイアを世界ヘ広げようとしているデザイナーの話を、もう過去の遺物となったハイ・ライン跡に宿った歴史のロマンを、その作品で人々を驚かせ、楽しませるアーテイストたちのずば抜けた想像力を。

そして、「リアリスト」と「ロマンチスト」の聞を自由に行き交う事のできる、素敵な想像力を持った読者の皆さんに、このイシューを楽しんでもらえれば、すごく嬉しい。

Text: 井出幸亮
PAPERSKY No.6 New York Urban Green アーバン・グリーンを求めて、NYへ
July 2003

In the Park | NEW YORK | EDITOR’S NOTE – 6

A few months ago on an ice sunny day I was buying a hot dog in front of the entrance to New York’s Central Park when the Puerto Rican vendor working the stand asked me if I was Chinese. When i told him no, I was Japanese, he said “Oh…can you hold this for me?” and handed me the shop’s small sign to hang onto while he slowly went about setting things up. While I wondered why I, the customer, was being enlisted to help, I found myself sticking around until everything was set up. Afterwards I sprawled out on the park’s huge expanse of grass and crammed a hot dog into my mouth. It was the worst I’ve ever had.

All kinds of people of different race, nationality, age and gender gather here in the park located smack dab in the middle of Manhattan. They’re busy doing different things: playing with their dog, playing sports, enjoying a date, snoozing or just chatting with friends. Looking at the faces of the people enjoying this “heaven on earth,” I couldn’t help but think of the war.

People from all over the world live in New York. Everyone has different roots, beliefs and goals, and as such they have no choice but to adhere to the idea of a fictional “nation” in order to protect their identities. However, if we can create a “nation” from a fictional standpoint, shouldn’t we be able to use our powers of imagination to spin an even better version of this fiction , one that is easier to live in?

Creation through imagination. A bit of a cliche, but this wonderful man-made park is the result of just that. It is a park created according to the wishes and hopes of the residents of New York, the people who use it. It’s probably a pipe dream to wish that the rest of the world could be molded like this, but omitting the imaginary to focus only on the reality of things won’t bring about change. Dreams, visions, even illusions and misconceptions are needed.

Text: Kosuke Idee
PAPERSKY No.6 New York Urban Green
July 2003

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