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Los Poblanos エシカルを発信するラベンダー農場へ

「Los Poblanos」は「世界のベストホテル100」にも選ばれたことのある、自然豊かなファーム&ヴィラ。ここで手づくりされるラベンダー製品は、州内はもちろん、全米各地で愛されている。そんなラベンダー製品が […]

02/05/2019

「Los Poblanos」は「世界のベストホテル100」にも選ばれたことのある、自然豊かなファーム&ヴィラ。ここで手づくりされるラベンダー製品は、州内はもちろん、全米各地で愛されている。そんなラベンダー製品が生まれた背景とは。
「Los Poblanos」は、アルバカーキの郊外にあるオーガニックファーム兼ヴィラ。10万m2という広大な敷地には、オーガニックの野菜畑とラベンダーファーム、宿泊棟のヴィラ、レストラン、オリジナルプロダクツを扱うショップが点在する。なかでも、「Los Poblanos」を有名にしたのは、有機栽培したラベンダーでつくられる、うっとりするような香りのプロダクトだ。「この土地には有史以前から、アナサジと呼ばれる古代プエブロ人が住んでいて、治療やヒーリングに用いるハーブや薬草を大切に育てていたんだ。ラベンダーもそのひとつで、火傷や切り傷、さまざまな症状に効くメディカルハーブとして重宝されていたんだよ」と話すのは、現在のオーナーであるマット・レンビさん。
夏には厳しい日差しが降り注ぎ、冬は雪に覆われるという、標高1,600mの乾燥した大地は、ラベンダーの生育にぴったり。ネイティブアメリカンの叡智に敬意を評し、オーガニックというだけでなく、環境にも配慮したサステイナブルなラベンダー栽培が行われている。手で摘み取られたラベンダーは昔ながらのポットスチルに入れられ、エッセンシャルオイルが蒸留される。マットさんいわく、「500mlのオイルを蒸留するためには、100ポンド(約45kg)以上の満開のラベンダーの花が必要」。こうしてじっくりと抽出されたオイルは、バームやソープなどのオリジナルプロダクトに配合される。なかでも「ラベンダー・ソルベ」は、1930年代に当時のオーナー、ペニーさんが、農作業で荒れた手肌をいたわるために開発したもので、現在もまったく同じレシピで手づくりされている。ちなみに、オイルを抽出し終えたラベンダーは、そのまま畑に蒔いて天然の防虫剤として再利用する。資源を可能な限りリユースすることも「Los Poblanos」のポリシーなのだ。
この土地に息づく伝統を大切にしつつ、サステイナビリティやトレーサビリティ、地元の農業コミュニティとのつながりなど、環境へのローインパクトな試みを独自のガイドラインとして設けているマットさん。彼のそうした進取の気性は「Los Poblanos」に伝わるDNAなのかもしれない。というのも、「Los Poblanos」の前身も、1930年代にスタートした革新的なファームだった。当時は州を代表する牧場としてアルバカーキ全域に牛乳を供給していた他、当時、輸入に依存していたテンサイを実験的に育てたり、温室では新種のバラなどの開発に取り組んだり、新しい農業のあり方を模索していたとか。
「Los Poblanos」の見どころのひとつが、歴史的な建物の数々だ。ここを始めたアルバートとルースのシムズ夫妻は、自分たちのランチハウスを建てるため、「サンタフェ・スタイルの父」と呼ばれる建築家、ジョン・ゴー・ミームを招いた。ミームは南西部ならではのプエブロ様式建築の普及に努めたことで知られるが、ここにも南西部のアイデンティティを象徴するような建物をデザインした。加えて、シムズ夫妻とミームは、ニューメキシコを代表するアーティストの作品で邸内を飾った。現在は特別なパーティなどが開かれるこの建物には、グスタフ・バウマンが彫刻した木製のドアやマントルピース、ウォルター・ギルバートのアイアンの作品など、ニューメキシコのアートが各所に息づいている。この歴史的なヴィラとは別に、ミーム建築にオマージュを捧げた宿泊棟である新しいヴィラは、かつてアレキサンダー・ジラードが定宿にしていたこともあり、インテリアのあちこちに彼がデザインしたファブリックやタイルが使われており、こちらも見ものである。
「Los Poblanos」でのもうひとつのお楽しみは、自社農園やパートナーシップを結んでいる近隣農家からの食材をふんだんに使った料理だ。施設内のレストラン「Campo」では、マットさんが「リオ・グランデ・キュイジーヌ」と名づけた創作料理が提供される。近くを流れるリオ・グランデ渓谷の水は、生産者にとっては「命の水」。この恵みでもたらされた野菜や乳製品、肉など、地域に由来する食材をていねいに調理した料理で、地元素材の魅力をアピールしているのだ。
「僕たちのミッションは、『Los Poblanos』の歴史的な建物と美しい環境を守り、地域コミュニティと協働して持続可能な農業を促進しながら、自然とのよりよい結びつきを模索すること。日本のみなさんにもぜひ、ここを訪ねてニューメキシコの自然や文化、歴史に触れてもらいたいね!」
Los Poblanos Historic Inn & Organic Farm
lospoblanos.com
» PAPERSKY #58 NEW MEXICO|Outdoor Beauty Issue