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フィーカは、ソーシャルな文化に変化してきた|Sweden Fika Guide 1

訪ねたのは、“動物の庭”という意味合いをもつユールゴールデン島の森の奥、5,000ヘクタールにも及ぶ広大な土地に野菜、ハーブ、花々が咲き乱れる「Rosendals Trädgård」。もともとは王家の別荘の庭だったバラ園 […]

01/11/2018

訪ねたのは、“動物の庭”という意味合いをもつユールゴールデン島の森の奥、5,000ヘクタールにも及ぶ広大な土地に野菜、ハーブ、花々が咲き乱れる「Rosendals Trädgård」。もともとは王家の別荘の庭だったバラ園を1980年代に財団が引き取り、バイオダイナミック農法の庭園へとつくり替えたのだという。ここで採れた素材を生かした料理やお菓子が食べられる温室のカフェは、午後になるとフィーカを楽しむ人々でいっぱいになる。このカフェのマネージャーを務めるクリストファー・ベスコウと、若い感性で世界的な菓子コンテストでもたびたび受賞しているペイストリーシェフ、コンラッド・ティルセンに、フィーカの話を聞く。
「ここのペイストリーは、誰もが懐かしく感じるホームメイドのような味わいのなかにも、素材のよさと気の利いたアレンジがある。僕自身、もともとなんでも手づくりする家庭に育っているので、ベーシックなものづくりへの尊敬があるんだ」と話すコンラッドは、原点を思い出すためにときどきここでフィーカをするという。「昔は、フィーカというとおばさまたちがおしゃべりするお茶の時間だったのが、今ではソーシャルな文化に変化してきた。大切なコミュニケーションの時間には、場所と気分にフィットするお菓子があるといい。僕だっていつもここにいると、素材がよく職人的でいてモダンにデザインされた君のつくるペイストリーが無性に食べたくなるよ」と、クリストファー。今ではノルディック・キュイジーヌの原点回帰の哲学は、世界的なスタンダードになった。小さなカフェからハイエンドなレストランまで、どんなスタイルにおいてもクラフトとサステナブルは皆が惹かれるキーワードのようだ。
 
クリストファー・ベスコウ/Christofer Beskow
グラフィックデザイナーとして活動後、ノーベル賞の授賞式会場でもあるストックホルム市庁舎のバンケットでプロジェクトマネージャーを務める。現在は「Rosendals Trädgård」のカフェマネージャー。
コンラッド・ティルセン/Conrad Tyrséns
Dessert & Choklad Stockholmのオーナーで、パティシエ。厳選した素材を使い、洗練されたセンスで表現される菓子は定評がある。2013年にはノーベル賞の晩餐会でデザートを提供した。
» PAPERSKY no.55 SWEDEN | FIKA Issue