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【レポート】奈良&天理をハイク&ライド。ニッポンの心に還る週末旅へ

新緑に迎えられ、清々しい気持ちに充たされて家路につく。これは5月28日—29日に開催された、ツール・ド・ニッポン in 奈良・天理の、なににも代えられない土産だろう。麗しきまほろば、ニッポンのふるさと。訪れるたび、そう感 […]

06/20/2016

新緑に迎えられ、清々しい気持ちに充たされて家路につく。これは5月28日—29日に開催された、ツール・ド・ニッポン in 奈良・天理の、なににも代えられない土産だろう。麗しきまほろば、ニッポンのふるさと。訪れるたび、そう感じる奈良へと導かれた私たちは、日本書紀にもその名を残す「山の辺の道」をたどる旅を、静かに終えた。
初日は、三輪山・大神神社を起点に約14km、天理へ向けてハイキング。2日目は大和八木から奈良へ向け、山の辺の道を身近に感じながら、山々に抱かれた奈良の平らな大地を約35kmのサイクリング。山の辺の道をベースに二日間、じっくりと奈良盆地を楽しむ行程を楽しんだ。
初日のハイキングは、山の辺の道のボランティアガイドさんと、天理市のご担当者一行、そして参加者のみんなで、朝の大神神社を参拝してからスタート。気持ちを引き締め、各々のペースで歩を進める。あちらにもこちらにも、こんもりとした大地つまり古墳が点在する風景。そんな山の辺の道は、地域の人にとっては、いまもむかしも生活の道。人々の日常と、古の人たちの存在を感じる不思議な体験が重なる。昼食には、道が通う場所に位置する柳本が地元という大阪の洋食Katsuiの勝井さんが、彼の呼びかけで集まった仲間と絶品の弁当を用意して待っていてくださっていた。また、ボランティアガイドさんお手製のせんぎり大根も、贅沢な補給食だった。
太陽が一行を出迎えた2日目。名物だんごをいただいた私たちは、大和八木駅から一路、北へ。奈良の町をめざしてペダルをこぎだした。三輪山が先ゆく私たちを見守るなか、まずは唐古・鍵遺跡に到着。その歴史は、さかのぼること二千余年……この弥生時代の環濠集落遺跡を目の前に、古の人々の暮らしを想像した静かなひととき。昼食を目前に立ち寄ったのは、鳥居と立木に囲まれた三十八社。小さな鳥居の奥では、木漏れ日そそぐ広場で南檜垣営農組合のおもてなしと、思いがけない天理市長の並河健氏grafの服部滋樹さんの出迎えがあった。朝採れトマトにじゃがバター、青大豆から採った絞りたての豆乳、組合の皆さんの笑顔とのふれあいは、最高の思い出となった。麦畑を眺めて大和神社へ寄り道の後は、農家カフェけやきで昼食を。この日のためにご主人が用意くださった竹のお手製バイクラック(自転車を駐輪するためのスタンド)に、感激もひとしお。もちろん、自家製野菜の絶品ランチに舌鼓を打ったことは、言うまでもない。そこからは一気に、ならまちへ。観光案内所を兼ねた、おいしい&楽しい空間・鹿の舟では、この場所の仕掛人でもある「くるみの木」石村由起子さんによる果実酒づくりのワークショップを体験。奈良の思い出をビンに詰め、旅を締めくくった。
歩いてめぐる奈良。翌日には一転、景色がどんどん後ろへ流れゆく自転車のスピードを体感した。二日間を通して参加した人は、そのどちらもを、しっかりと体に刻んだことだろう。それにしても、控えめでやさしい奈良&天理の人たちのおかげで、奈良の旅路を穏やかに終えることができたというのが感想だ。直近でいえば初春の名古屋旅と、その余韻がまるで違っていて、それもとても楽しめたのだった。それぞれの土地と人から、その場所〝ならでは〟の印象と気持ちをいただいて帰る。それが、ツール・ド・ニッポン旅の醍醐味。次の旅は九月、石川の奥能登へ。自身ではなかなか体験できない特別な旅へ誘い、お楽しみに!