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リオの海から始まった、創造の物語|Roberto Menescal

ボサノヴァ創世のストーリーには諸説ある。その真実を確かめに、僕らはホベルト・メネスカルを訪ねた。複雑な音符の集積でありながら洒脱なフィーリングも併せもつ、彼のギター。まさにボサノヴァの精神を体現し続けるリオでも屈指のレジ […]

06/02/2016

ボサノヴァ創世のストーリーには諸説ある。その真実を確かめに、僕らはホベルト・メネスカルを訪ねた。複雑な音符の集積でありながら洒脱なフィーリングも併せもつ、彼のギター。まさにボサノヴァの精神を体現し続けるリオでも屈指のレジェンドだ。彼はボサノヴァのミューズ、ナラ・レオンにギターを教えた人物としても広く知られる。
「50年代後半、私はコパカバーナに住んでいて、毎夜のように仲間とナラのアパートへ行ったものだ。そこで自分たち、若い世代のために音楽をつくろうとしていた。それまでのブラジル音楽は古めかしいメロディに、暗い歌詞が多くてね。だから、海に行こうとか、恋愛を楽しもうとか、とにかく明るいテーマで音楽をつくりたかった。もちろんそこにはトム・ジョビンやジョアン・ジルベルトもいてね。そういう仲間たちで毎晩、演奏やパーティをしているうちにボサノヴァの原型が自然にできてきた。アパートの壁が薄くて、自分たちの音が近所に迷惑がられたから、ヴォーカルはどんどん囁くようなスタイルになってね(笑)」
そんな話をしながら、ギターを片手に自身の代表曲『小舟』を奏で始めたメネスカル。歌詞には「輝く太陽」「青い空」「夏の日の恋」といったフレーズが並ぶ、どこまでもリズミカルで軽妙な、名曲中の名曲だ。
「たとえばサンパウロにも優れた音楽家は多いけど、彼らは部屋に閉じこもって独自に音楽をつくる傾向がある。街が閉じているよね。でも、リオにはこんなすてきな海が広がっていて、そのまわりに人とアイデアが集まり、さまざまなものが交じり合ってつねに新しい音楽が生まれている。この海こそが、創造の源だと私は思うね」
» PAPERSKY #50 Rio de Janeiro | Bossa Nova Issue