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九月、最高の季節にめぐる八戸の、海と山と

そういえばちょうど2年前、ツール・ド・ニッポンの旅で青森・弘前を訪れたのも九月だった。東京駅から新幹線で北へゆくと、岩手から青森へ抜けて最初の駅が八戸駅。そこから在来線に乗り換え到着する本八戸駅は、賑やかさと昔ながらの暮 […]

10/17/2013

そういえばちょうど2年前、ツール・ド・ニッポンの旅で青森・弘前を訪れたのも九月だった。東京駅から新幹線で北へゆくと、岩手から青森へ抜けて最初の駅が八戸駅。そこから在来線に乗り換え到着する本八戸駅は、賑やかさと昔ながらの暮らしが交わる町にホッとする。
ツール・ド・ニッポン in 八戸、初日のサイクリングのガイド役を担ってくださった高橋晃さん(自転車歴40年以上!地元高校の教諭)を含む全員が「種差海岸駅」に広がる芝生地に集合。民宿のおかみさんお手製の“こびりっこ”(10時と15時にいただく八戸のおやつ)をほおばり、サイクリングがスタートした。海の神さまへの安全祈願、わき水汲み、いくつかの漁港を伝う約10kmの海沿いサイクリングのあとは、今回の最大の山場である約4kmつづくヒルクライム。「のぼりきった先で待つ、趣のある茶屋でいただく極上の〈階上早生〉の手打ちそば」……をめがけ走りきった参加者の達成感は、美味しそうに蕎麦を食べるみんなの笑顔と食欲から容易に伝わってきた。
午後、参加者にぜひ見てもらいたかったのが、石灰石の鉱山採掘場・八戸キャニオンだった。南北約2km、東西約1kmの幅と、人工ながら日本一標高の低い地点(海抜−170m)を誇るこの場所のスケールたるや圧巻! さらにコンクリートやセメント、製鉄の材料となる石灰石は、現在も八戸の町の地底を伝うベルトコンベアーで八戸港まで運ばれ輸送されており、工業都市・八戸の一面を見ることもできた。サイクリングの終点は、八戸ポータルミュージアム はっちで、八戸を代表する青森県認定伝統工芸士・井上澄子さんに、地域特有の南部裂織を直に教わる時間を過ごした。“裂織”とはその字のごとく、着古した着物などを細く裂いたものを糸のように扱い、織り機で織って生地を仕上げてゆく。私たちが一人約20分で織った量はわずか4cm×30cmほど。このてまひまのかかる手しごとに、自分で織ることでしか決して感じることのできない愛おしさを感じて旅をしめくくることができた。
そういえば漁師町・八戸の朝は、元気だった。現地集合の前泊組が、サイクリングの前に、各々に楽しんでいたのが八戸あさぐる。タクシーで目指すのは、陸奥湊駅にある八戸市営魚菜小売市場。お母さんたちとのふれあいを楽しみながら新鮮なお刺身や総菜を買い集め、あつあつご飯とみそ汁を注文して自分好みの朝定食をいただく。さらに朝風呂をまわって約2時間。あぁ、あの八戸での朝の時間の過ごし方、やっぱり羨ましい。