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DRINK LOCAL! ローカルフードとして味わうコーヒー

ニュージーランドのコーヒー・キャピタルと呼ばれるウェリントン。メインのキューバ・ストリートには賑やかなカフェが並び、1人当たりのカフェの数はニューヨークよりも多いという。この日訪ねたのは、その路地裏にある一軒のコーヒーシ […]

04/14/2020

ニュージーランドのコーヒー・キャピタルと呼ばれるウェリントン。メインのキューバ・ストリートには賑やかなカフェが並び、1人当たりのカフェの数はニューヨークよりも多いという。この日訪ねたのは、その路地裏にある一軒のコーヒーショップ「Havana Coffee」。朝食に添えられていた地元のコーヒーを旅のお供にしたくて、そのB&Bのオーナーに教えてもらったとっておきの場所だ。表通りのカフェとは一線を画した、倉庫兼焙煎所のような飾り気のない建物。焙煎する機械や麻袋が無造作に置かれ、新鮮な豆の香りがとめどなく漂っている。マイカップやタンブラーを手に、慣れた感じで店に入ってくる客の姿を見て、ここでコーヒーを飲めることをなんとか確信した。
ニュージーランドのローカルフードを探るヒントは、コーヒーにある。地方ごとにインディペンデントなコーヒーロースターがあり、豆の仕入れや焙煎にこだわったその品質は地元民のお墨付き。カンタベリーエリアなら「Underground Coffee」、ホークスベイなら「Bay Espresso Coffee」、そしてウェリントンには「Caffe L’affare」や「Mojo Coffee」など数多くのロースターがあり、それぞれに個性的な名前とパッケージデザインが目を引く。紙カップや薄茶色の豆袋に印刷されたロゴマークはどこか旅心を誘い、クリエイティブなニュージーランド・デザインのアイデンティティともなっている。
どの町でも地元の人に尋ねれば、よくぞ聞いてくれたとばかりに自分の好きなカフェを教えてくれるはずだ。ティータイムを楽しむ老夫婦や、ノートパソコンを広げるビジネスマン、赤ん坊を遊ばせながらゆっくりと食事をする母親の姿もある。エスプレッソマシーンの抽出音や豆を捨てる際の「ガンガン!」という金属音が、カフェの喧騒をいっそう身近なものにしてくれる。ローカルな人々が誇りに思う一杯のコーヒーを、その街の風景の中で飲むことができたなら、旅の目的はほとんど果たしたようなものだ。