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椰子の葉が揺れる、水と緑の原風景へ

穏やかな南インドの風景を印象づけるのが、バックウォーターの存在。アラビア海沿岸地区に広がる水郷地帯で、大小の湖、湖沼、入江と、自然の川と人工の水路、運河とが網の目のようにつながっている。その長さは細長いケーララ州の半分に […]

11/09/2012

穏やかな南インドの風景を印象づけるのが、バックウォーターの存在。アラビア海沿岸地区に広がる水郷地帯で、大小の湖、湖沼、入江と、自然の川と人工の水路、運河とが網の目のようにつながっている。その長さは細長いケーララ州の半分にまでおよぶほどで、総延長は900km。町や村、あたりに広がる水田の間を縫うように蛇行するため「東洋のベネチア」と呼ばれる。
このバックウォーターは、南インド観光における目玉のひとつ。食事付き、クーラーなど、さまざまなタイプの豪華なチャーター船が用意されている。PAPERSKYがおすすめしたいのが、地元の人が足として使っている渡し船やフェリーに乗りこみ、みんなで揺れてみること。
木製の人力渡し船は、乗り降りのときに大きく揺れて一瞬、ひやっとするけれど、ひとたび櫂をいれて岸辺を離れると、たちまちそこが別世界であることを知るだろう。目に入る景色は水面と椰子の木々、聞こえてくるのは水の音と風の音、遠くでさえずる鳥の声。水と空と一体になったかのような忘我の境地へ一瞬だけ連れていってくれる。
この地域で愛飲されている「トディ」なる発酵酒を飲むと、さらに忘我の境地へ誘われる。船で出会った男性の家でいただいたそれは、今朝採った椰子を発酵させたとはいえ、結構なアルコール度数で、飲むと頭がくらくらしてきた。子どもも平気で飲んでいるけど、あれ!? そもそもインド人ってお酒を飲まないのでは? 「トディは別枠。ひと月に1回くらい、特別なときは家族で飲むんだ」とのこと。そうか、ここケーララは「椰子の土地」といわれている場所。「飲むとパワーがみなぎるんだ」。そう言ってニカッと笑った。
This story originally appeared in Papersky No.39. Text: Kaya Okada