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ヨセミテ渓谷内にある老舗ホテル THE AHWAHNEE HOTEL

ヨセミテ渓谷内にある数ある宿のなかでも、「アワニーホテル」は多くのアメリカ人たちが「一度は泊まってみたい」と憧れる、歴史ある老舗ホテル。1920年代当時、ヨセミテを訪れる人々はキャンプするか、小さく簡素なホテルに宿泊する […]

04/05/2012

ヨセミテ渓谷内にある数ある宿のなかでも、「アワニーホテル」は多くのアメリカ人たちが「一度は泊まってみたい」と憧れる、歴史ある老舗ホテル。1920年代当時、ヨセミテを訪れる人々はキャンプするか、小さく簡素なホテルに宿泊するしかなかった。そこで、国立公園の最初の指導者だったステファン・マサーが、資金力や影響力のある人々を呼びこんで自然保護の重要性を理解してもらうため、大自然のなかで一流のサービスを提供する高級ホテルの建設に着手。1927年にアワニーホテルは完成した。彼はホテルが周囲の景観に溶けこむことを重要視し、設計を担当した建築家ギルバート・スタンリー・アンダーウッドは、防火のために使われた外壁の鉄をあたかも木材のように見えるよう加工したうえで、大量の石材と組み合わせて見事にヨセミテの自然に馴染む建築をつくりあげた。こだわりは外観だけに留まらず、梁や壁など、館内のありとあらゆる場所にネイティヴたちが使用する柄をモチーフにした色鮮やかで繊細なカーヴィングが施された。アワニーホテルの豪奢で華麗なインテリアは現在も日々、補修が続けられており、また多くの場所にオリジナルの家具や照明が大切に使用され、古き良き往時の姿をいまに伝えている。これまでアワニーホテルを訪れたVIP はジョン・F・ケネディやエリザベス2世をはじめ、政治家や実業家、ハリウッド・スターなど枚挙にいとまがない。また、毎年12月にはレストランで「ブレイスブレッジ・ディナー」と呼ばれる名物ショーがおこなわれており(実はアンセル・アダムスはそのはじまりから1972年までこのショーを監督している)、いまだに予約がなかなかとれないほどの人気を誇っているという。今も昔も、「アワニーホテル」の名はヨセミテを訪れる人々にとって特別な響きをもつステイタス・シンボルなのだ。
This story originally appeared in Papersky No. 32.