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江戸の老舗をめぐって、多摩川越え(日本橋〜川崎)

PAPERSKY版・東海道中のスタート地点は、日本橋。お江戸日本橋から目指す京の三条大橋までは、全長約490kmの道のりだ。江戸の人はこれを12〜15日で歩いたという。江戸時代に東海道の旅を詠んだ歌は「お江戸日本橋七ツ立 […]

08/05/2011

PAPERSKY版・東海道中のスタート地点は、日本橋。お江戸日本橋から目指す京の三条大橋までは、全長約490kmの道のりだ。江戸の人はこれを12〜15日で歩いたという。江戸時代に東海道の旅を詠んだ歌は「お江戸日本橋七ツ立ち〜」という文句から始まる。七ツとは、午前4時頃。電気がない当時は、とにかく朝早く出るのが旅の常識。宿の灯りも薄暗い行灯なので、明るいうちに宿に入って風呂と食事を済ませ、暗くなれば寝るのがよしとされた。暗くなってから投宿すると勝手がわからず、苦労することもあったのだとか。
1603年に架けられた日本橋は、東海道をはじめ五街道すべての起点だ。各地の道路で見る「東京」までの距離は、いまもここまでの距離を示す。橋が架けられた当時、町の中心だった魚河岸こそ築地へ移ったが、江戸から続く老舗の店がいまも残る。和菓子の榮太樓總本鋪では、道中のお供に名物の「梅ぼ志飴」を購入。この甘い飴は、本紅を混ぜて赤く色づけた様が梅干に見えたという理由で、江戸っ子の酒落として真逆の味を想像させる名がつけられた。「広重の浮世絵にも遊びの感覚があるけど、江戸の人って楽しく生きてた感じだね。いま同様、仕事も大変だったと思うけど、心の余裕があったからいい社会をつくれたんじゃないのかな」とルーカス。
1つ目の宿場、品川の丸屋履物店では道中の必需品、わらじについて教えてもらう。「江戸のわらじは足から出ないように履くもの」で、とても細い。旅籠ではまず旅人の足を洗うのが最初のもてなしだった。そして履き潰されたわらじは畑の堆肥にされたという。江戸の世は優れた循環社会でもあったのだ。多摩川を越えると川崎宿に入る。そのころには、もうわらじも履き潰されていたかもしれない。