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アイスランドの音楽シーンを辿るドキュメントフィルム

アイスランド・エアウェイブスが先日開催され、音楽の街として賑わいを見せたレイキャビク。音楽を楽しむアイスランドの人たちの気風、美しい自然との関係など、現代アイスランドの音楽は多彩な魅力に溢れている。ビョークやシガーロスを […]

10/22/2010

アイスランド・エアウェイブスが先日開催され、音楽の街として賑わいを見せたレイキャビク。音楽を楽しむアイスランドの人たちの気風、美しい自然との関係など、現代アイスランドの音楽は多彩な魅力に溢れている。ビョークやシガーロスをはじめ、ムーム、ムギーソン、アミーナなど、多くのミュージシャンが出演する『スクリーミング・マスターピース』(2005年/アイスランド)は、そうした音楽シーンを伝えるドキュメントフィルム。ライブ映像とともに、多彩なインタビューで構成されている。ビョークが語るアイスランド人としての真のアイデンティティについてや、ヒルマール・オゥルンによる音楽と詩の関係性など、興味深い話題が盛りこまれている。
「あのころはアメリカ音楽のカバーバンドしかなかったんだ」と、映画『スクリーミング・マスターピース』の監督、アリ・アレクサンダー氏は振り返る。第二次世界大戦の混乱に乗じてアメリカ軍が駐留して以降、アイスランドのミュージックシーンは50年近くもの間、アメリカ音楽の多大なる影響を受けていた。映画の計画段階では、アメリカ音楽一辺倒だった時代から、どのようにいまの音楽シーンが形成されたかを中心に描くという案もあったが、それだけじゃつまらないとアリは反対。1,000年前、この国に音楽が生まれた時点からの文化や歴史、自然環境が音楽へ与えた影響の考察を織り交ぜることで、なにが人々を音楽へと向かわせるのかを描いてみせた。
とはいえ、アリはこの手の映画が陥りやすいナショナリズムへの懐疑的な視点も忘れない。「映画ではアイスランド音楽のランドスケープを描きだしているけど、本当の意味でのアイスランド音楽があるかどうかっていうことには疑問をもっているんだ。それは、アイスランドだけでなく、どこの国でも同じだけどね」。だから“名作を叫ぶ”というタイトルにもナショナリズムへの自戒および自虐的なユーモアを込めたという。「音楽は宇宙的な広がりがあるもの。美術館におさめられた“名作”ではないからね」

» Screaming Masterpiece
ペーパースカイ No.27 アイスランド特集 P.36-37