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職人たちの立てる音が響く集合工房

モロッコのメディナには、行商用の宿だった建物を複数の職人たちが仕事場として使っている共同工房がいくつもある。その中のひとつに、フランス人のブリジットさんが自らデザインするタオルとリネンの工房がある。12年前、仕事の関係で […]

10/07/2010

モロッコのメディナには、行商用の宿だった建物を複数の職人たちが仕事場として使っている共同工房がいくつもある。その中のひとつに、フランス人のブリジットさんが自らデザインするタオルとリネンの工房がある。12年前、仕事の関係でたまたまそのひとつに訪れた彼女は、そこから響いてくる金槌や鋸、機織などモノをつくりだす音に強く惹かれた。「職人たちの立てる音が私の心臓を打つように響いた。それがきっかけです」。同じフロアの織物職人たちに教えてもらいながら始めたタオルやリネンは、今ではその上品で美しいデザインと天然の素材や染料を使った品質の高さで、国内はもちろんヨーロッパでも高い評価を得るほどに。フェズ地方の刺繍などモロッコ各地の伝統的なパターンも取り入れながらデザインされているので、モロッコらしい魅力にもあふれている。
モロッコで「シルク」と呼ばれるのは、サボテンの樹液からつくった糸。本物のシルクがほとんどできないモロッコでは、古くからその代用品として珍重されてきたものだ。薄く肌触りのいいスカーフは、そうした糸や、希少なモロッコ産シルクで織られている。集合工房の一室にあるブリジットさんの仕事場は、ショップではないため訪れる場合には予約が必要だが、ストックがあるものは販売もしてもらえる。となりでは機織りの職人が黙々と作業していた。