Cameron Allan Mckean
見上げると、いまは亡き人々の写真が隙間なく貼られた壁が目に入る。念入りに仕立てられた装束に身を包んだ昔の山伏たちが、畳の上に座っている人を見下ろしている。ここは、星野博が営む宿坊の大広間 »STORY
山伏は死に臨むため、白装束に身を包み、大きなほら貝と杖を手に山に入っていく。9日間を山中で過ごす「秋 »STORY
出羽三山の深い霧のなかに消えていく人影は、山伏である。人目を忍び、儀礼を重んずるこの修行者たちは、千 »STORY
新絹枝が身にまとった藍色の着物の袂をたくし上げると、織り上がった布に日光が影を落とす。「その着物はお »STORY
潮風が石垣の町全体に吹き渡り、3階の窓から入ってくる。木製の織機や、その前に座る女性たちの間を縫って »STORY
八重山の女性は400年にわたって、織物を年貢として上納してきた。織りの作業は難しく、根気のいる仕事で »STORY
東京では昔、河川が毎年のように氾濫し、そのたびに下町が泥の海と化した。これは草、野草、多肉植物、樹木 »STORY
1945年3月の東京大空襲は、一面を焼野原に変えた。残ったのは車や遺体の残骸と、黒焦げになった柱や梁 »STORY
毎年、7月6日から8日の3日間、東京の下町、入谷では、夏の風物詩のひとつ、朝顔市が開催される。この地 »STORY
午後遅くの浜松市の中田島砂丘の上の青空は、視界をさえぎるものもほとんどなく、大きく広がっている。ひと »STORY
和紙でできた大凧が空に舞い、竹でできた軽い骨組みからは数百メートルの長さの麻糸が続いている。その麻糸 »STORY
遠州灘を臨む街、浜松には江戸時代ごろから続く祭りがある。市内の各町が参戦し、長さ1,000m以上の麻 »STORY
伝統はこだまのようなもの。世代が変わるたびに聞こえかたが違ってくる。伝統とは、年長者から若者へと受け »STORY
遠州屋の店先には品物がちらほらとしか見当たらない。取材に訪れたのが夏ではなかったからだろうか。ガラス »STORY
静かに差しこむ自然光が一枚の紙をとおして、やわらかな光となって満ちている。世代を超えて受け継がれてき »STORY
外の光がまったく入らず、影が見える様子はまるでない。永遠に続く漆黒の闇。宇宙の果てに見える星のように »STORY
マタギたちは、ずっと荒々しい自然の腕のなかで激しく揺さぶられてきた。自然との愛すべき闘いに勝つために »STORY
日本の北西端には、山の神からクマを授かる土地がある。その地で、マタギが狩りに出かける準備をしている。 »STORY
焼津の商店街には、ほとんど人影がない。買い物をしている年配の女性が2~3人いるくらいだ。長年、焼津で »STORY
人間は道具がなくても多くのことができるが、道具があれば神のようになれる。手漉き和紙を魔法のようにつく »STORY
神崎町では、家々が畑の海に浮かぶ島のようにぽつりぽつりと点在している。そんな郊外にあるような、大型ス »STORY
「我が家はここで20代ほど続く農家です。私も18歳のころから農業を始めました」と鈴木一司は言い、私た »STORY
千葉県北部に広がる農業地帯に、神崎という町がある。昔からお酒やお味噌、醤油などの発酵文化の盛んだった »STORY
「私は仏師。石を彫る職人です」と、竹林昭吉郎が工房の前で言う。1948年に真鶴で生まれた竹林は、いま »STORY
15万年前、箱根山の噴火で流れ出た溶岩が周辺地域をすっぽり覆った。流れだした溶岩が冷えて固まり、やが »STORY
今から15万年前、火山活動により誕生した箱根一帯の山々。その山のなかから採掘される細かい斑点と青みが »STORY
漁には神秘的な側面もある。焼津の漁師たちのあいだには多くの迷信があり、えさの選択から「船玉」(御神体 »STORY
「私は木村庄之助と申します。本名は畠山三郎ですが…」取り組み中に土俵への立ち入りが許されている唯一の »STORY
蒸し暑さを感じる、東京の昼下がり。床安こと、西村安士が働く相撲部屋、出羽海部屋を訪ねた。西村は私たち »STORY
祝詞が奏上され、清めの塩が高々とまかれ、歓声を上げる観客の前で巨体がぶつかりあう。これが大相撲だ。舞 »STORY
「私が初めて竹に触れたのは、竹林から自分のおもちゃを切りだしたときでした」と大橋重臣は言う。今年で3 »STORY
青森は夏の盛りを迎えた。最後の残雪が融けさり、高らかなかけ声や太鼓の響き、笛の音色、鐘を打ち鳴らす音 »STORY
北村隆は青森市郊外にある自宅の一室を作業場にしている。だが、その庭はふつうとはほど遠い。途中まで仕上 »STORY
「ここで働く人たちはみんな高齢者。全員が地元の出身です」。永井貴美代はそう語るが、これは彼女自身にも »STORY
大分全域に分布する竹林は、日本全国の竹林の約6割を占める。そこから切りだした背の高いマダケが別府竹細 »STORY
あらゆる伝統がかたちを変えている。だが、日本のすべての伝統工芸のなかで、漆器ほど著しい変化を見せてい »STORY
74歳の池下満雄の工房には、おおまかな形に切られた木の椀が10列ほど高く積みあがっている。壁の窓から »STORY
日本海に面した能登半島の先に、輪島の町がある。ここでは漆の木の樹液に、「地の粉」と呼ばれる珪藻土の粉 »STORY
日本の神社仏閣には、神仏に現世利益を求めて祈願する人々が訪れる。本来の宗教的な意味合いがなくなり、願 »STORY
現在でも、熊野までのアクセスは悪い。新幹線も空港もなく、熊野本宮大社までは、海岸線の駅からバスを乗り »STORY
山々のこだまが紀伊半島の中心に響き、熊野に届く。熊野は古代から神々が鎮座する地として崇められてきた。 »STORY
銭湯は東京の街のあちこちに隠れるようにして建っている。その堂々たる姿は一見、寺院のようだ。なかで裸の »STORY
まぶしい昼の光が、人気のない銭湯にきれいな縞模様をつくっている。東京にふたりしかいない銭湯絵師のひと »STORY
橘秀雪はしわの寄った手をすばやく動かし、杉原さんの背中を流す。77歳になる杉原さんは日暮里の斉藤湯の »STORY
高瀬大輔は生粋の徳島っ子で、阿波踊りと関わりの深い家系に生まれたが、若いころは阿波踊りにまったく関心 »STORY
鯉実がまだ幼いころ、祖母が毎日三味線の稽古をしていた。ぴんと張られた3本の絹の弦を大きな撥で打つと、 »STORY
公園や通りに設けられた演舞場に、太鼓の音が轟きその音が跳ね返って、徳島の街を埋め尽くす群衆の上に響き »STORY
皇居の敷地内に「三代将軍の松」と呼ばれる500年物の盆栽がある。人間が植えて世話をしてきた世界最古の »STORY
「盆栽がやがて私の仕事になり人生になることに、中学生のころに気がついて、大きなプレッシャーを感じてい »STORY
1923年に関東大震災が東京を襲い、山の手に点在していた盆栽園のうち少数の業者が、東京の北にある大宮 »STORY
暮れゆく日のなかで黒く濃い輝きを放つ。雨畑原石でつくられた硯に少しだけ入っている墨。望月苔雲が竹炭と »STORY
硯は日本の書の歴史に欠かせないものである。また、日本の精神的歴史を体現する瞑想の道具でもある。「純粋 »STORY
雨畑は山間の小さな村だ。いたるところに野生の猿が生息している。この地は、光沢があり、硬く、水持ちのよ »STORY
初日がいちばん寒かった。屋外でKamiとSasuが準備するのを見ていると、上着のなかで身体が縮こまっ »STORY