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サウナはフィンランド人の大切な社交場|Finnish Sauna

フィンランド人のライフスタイルを語るうえで「サウナ」を外すことは、日本人の生活から「温泉」を外すくらいに、いやそれ以上に難しいかもしれない。何せフィンランド全土には、約540万人の人口に対して300万軒ほどのサウナがある […]

03/03/2020

フィンランド人のライフスタイルを語るうえで「サウナ」を外すことは、日本人の生活から「温泉」を外すくらいに、いやそれ以上に難しいかもしれない。何せフィンランド全土には、約540万人の人口に対して300万軒ほどのサウナがあるというから、「一家にひとつ」どころの話ではない。「寒さから身体を守り、汗をかいて生活の疲れを洗い流してくれるサウナはフィンランド人にとって欠かせない重要なもの」とその位置づけを強調するのは、ヘルシンキにある「フィンランド・サウナ協会」のリスト・エロマア氏。サウナの歴史は同国の国民叙事詩『カレワラ』にすでにその記録があるほどに長い。丸太建築の小屋に煙道のない薪ストーブを設置した伝統的なスモークサウナのほか、18世紀には火災の恐れの少ない煙突つきのモルトサウナが登場。第二次大戦後には火を使わない電気ストーブ式のサウナが現れて、1970年代には一般家庭にまで普及した。
こうして自宅でサウナを楽しむ習慣が定着するまで、人々がつねに利用してきたのが「公衆サウナ」だ。ヘルシンキ市内にはかつて100軒ほどもあったが、近代化とともにその数を減らし、今や3軒を残すのみ。そのひとつであるKotiharjun Saunaの店先では半裸の男たちが座り、火照った身体をクールダウンさせながら世間話に興じている。裸で座る以外にすることもないサウナの空間はまさに社交場だ。「たとえ大統領であってもファーストネームで呼び合う、それが公衆サウナです」とエロマア氏。今や貴重な街のコミュニティスペースである公衆サウナを訪れ、彼らと「裸のつきあい」をしてみれば、きっとフィンランドのリアルなライフスタイルにふれられるだろう。
Finish Sauna Society 
www.sauna.fi/in-english/the-finnish-sauna-society/welcome
 
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