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  • Photography: Hao Moda
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高山都さんと自転車で巡るオレゴンの旅

, 2019/12/02

アウトドアアクティビティの本場、オレゴン州の魅力を体感するなら断然、自転車がいい。自転車の速度だからこそ見つけられる風景を探しに、モデルの高山都さんとポートランドからオレゴンコースト、そしてセントラルオレゴンへ。コミューターバイク、グラベルバイク、MTBと、自転車で遊び尽くす、1週間の旅。
 
高山都さんをオレゴンの自転車旅に誘ったのは、7月のことだった。何事に対してもポジティブな高山さんとなら、なんだか楽しい旅ができそうだ、そんなふうに思ったからだ。軽い気持ちの誘いに対して、彼女の返事は「考えてみます」という慎重なもの。「考えます」の意味がわかったのはその後のこと。意外にも、高山さんは自転車にはほとんど乗ったことがなかった。

「ランニングはするけれど、それ以外のスポーツは全然(笑)。普段、自転車に乗らない自分が自転車特集に出ると、嘘っぽく見えませんか?」

とはいえ、新しいことに積極的にチャレンジするタイプである。初めてのオレゴン、初めての自転車旅と、初めて尽くしでやってきた初日のポートランドでさっそく、市内をコミューターバイクで巡る「ドーナッツライド」に挑戦。旅ランが好きで、旅先に着くとすぐに街中をランニングするという高山さん、この「ドーナッツライド」は旅ランの感覚に似ていると、親近感を覚えた。

「旅ランの魅力って、車ではなく自分の足で街のサイズを知って、そこの風やにおい、音をリアルに感じられるところ。東京からポートランドに到着して、スーツケースを置いてすぐに街に出て、ポートランドという街のことをまったく知らないまま、自転車に乗って。ペダルを漕ぎながら『ああ、あの家の配色は素敵だな』とか、『ここではこの季節、こんな花が咲くんだな』とか、街のキャラクターを探っていくうちに、ああ、なんだか旅ランをしているみたいだな、って。車の速度では見過ごしてしまう風景やフィーリングをキャッチできるのは、ランニングも自転車も一緒なんですね」

東京とは違ってバイクフレンドリーな街のあり方も、自転車に対する好感度アップに貢献してくれたよう。

「自転車と車がケンカしているような東京では、自転車に乗ることに対して抵抗がありました。同じ都会でもポートランドは自転車レーンがきちんと整備されているうえ、車のドライバーも自転車に親切。これなら私のような初心者でも楽しく乗れるって思います。むしろ、時間が読める、環境に負担をかけない、そして何よりも気持ちがいい!  走りながら季節の変わり目を繊細に感じられるからランニングが好きなのですが、自転車もまったく同じでした。『苦手なもの』から一転、すごくいい乗り物だなって思えるようになったのは、ポートランドのおかげです」

自転車、いいかも。そんなふうに思い始めた矢先に手痛い洗礼を受ける。続いての「灯台ライド」は、オレゴンコーストにある灯台から海岸線をライドする……、というと快適そうに聞こえるが、海岸線を逸れるとそこにはグラベルの激坂が待ち構えていた。ゲストライダーのトム・ボナミーチが引いてくれたルートは、標高300m近くを一気に駆け上がるというとんでもないものだったのである。汗だくになりながらも、ひたすら漕ぎ続けるしかない。

「ライド中はとにかく辛くて、黙々とペダルを漕いでいました。今あのライドを振り返ると、“辛い”を超えた先にある、自分のなかの純度が増すあの感覚は嫌いじゃないんです。達成感も、初心者なのによくやったという自信も味わえて、新しいことにチャレンジするおもしろさをあらためて教えてもらった感じ。もう一度やりたいかと聞かれればやりたくないけれど(笑)」

この坂道を登りきるとすっかり調子を取り戻し、苦手な下り坂も難なくクリア。グラベルを終えて再び海岸線に出たあたりでは、自転車の上で水平線に沈んでいく夕日を眺める余裕まで生まれていたほど。

この旅ではユニークな人との出会いにも恵まれた。ライド体験もさることながら、オレゴンのサイクリストたちの存在も高山さんに鮮烈な印象を与えたようだ。自宅の裏手に設けたアトリエで、自転車とアートざんまいの生活を送るダスティン・クライン。のどかな田舎町を拠点に、マイペースで自転車とアウトドアライフを満喫するランディ・ジョーの一家。職人気質のものづくりを貫くビルダーやバイクメーカー、グラベルやシングルトラックを走ることで、都会の暮らしを自分らしくデザインするポートランダーたち。それぞれのライフスタイルや個性がいちいち自転車のスタイルにも反映されていて、それがなんとも小気味いい。

「オレゴンで出会った人たちはみんな、オンとオフの境界が曖昧。趣味も仕事も、どちらもが自分のライフスタイルの延長線上にあるから、あえてオンとオフを分ける必要もないのでしょう。そういう有機的な生き方に先進性を感じました」

彼らのライフスタイルを振り返ってみれば、その根っこには必ず自然のフィールドがあった。ライディングの純粋な喜びと自然のなかに深く分け入るという思索的な行為を、本能的に紐づけているからだろうか。交通手段として街で乗りこなす自転車はもちろん、週末にはMTBでバックカントリーに入り、シングルトラックを楽しんだ後、川で釣りをしてその日の夕食を調達する。夜はキャンプだ。長期のバケーションでは、軽量な装備やキャンプ道具をバイクに載せて、数百キロ、ときには数千キロに及ぶバイクパッキングの旅に出る。それはもちろん、私たちが到底抗えないような雄大な自然が、そこで手招きしているからだ。

高山さんも初めてのオレゴンでその大自然に魅せられた。海岸線の夕日も格別だったが、「圧巻だった」と思い出すのはクレーターレイクだ。どこまでも青い空、紺碧に見える湖。展望台から見下ろした世界は青一色に包まれていて、天地がわからなくなるほど。高さや距離、時間の感覚までもが水面に吸い込まれるようだった。

「展望台からの眺めは雄大で、縦長の日本の景色とは規模が違うんだって実感しました。そんな湖の周囲のリム・ドライブを、豆粒のように小さなライダーが走っているのが見えるんです。上から見ていて、『ここを自転車で走ったら最高に気持ちがよさそう』って、ちょっと羨ましく思いました」

遅咲きの自転車デビューながらオレゴンを駆け抜けた濃密な1週間。この旅はどんな印象をもたらしたのだろうか。

「30代も半ばになるとどうしても自分のルーティンで生活してしまいがち。でも、こうして新しいことを体験して、さまざまな生き方をする人たちに出会うと、あらためて自分の世界がいかにちっぽけか思い知らされます。自分のなかの固定観念が取り払われて価値観がどんどん変わっていくのを実感できる。新たな経験、新しい自分。結局、旅の醍醐味ってそれだと思うんです」 

自転車ビギナーの高山さんを魅了し、次なる旅への知見までも授けてくれたオレゴン。その懐は、ただただ深かった。
 
■高山都さん プロフィール
1982年大阪府生まれ。ビューティモデル、女優など幅広く活動。趣味は料理、マラソン。「#みやれゴハン」として料理や器などを毎日紹介するインスタグラムが人気。趣味のマラソンでは、2016横浜マラソンで3時間41分の記録を持っている。自身の著書に、『高山都の美・食・姿「したたかに」「自分らしく」過ごすコツ』がある。 instagram.com/miyare38/

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