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  • Photography: Shuhei Tonami
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ニッポンの魅力再発見の旅 南信州

, 2019/08/05

移住先としても人気が高い長野県で、今回、目指した先は、駒ヶ根市と松川町、その周辺の町や村。南信州と呼ばれるこのエリアは、中央・南の両アルプスに囲まれた、美しい山々が広がる土地。そんなアルプスの麓に暮らす、愛おしい人々を訪ねる旅へ。

朝、起きて窓をあければ太陽の光が山々を神々しく照らす様子に悦び、ふと山を見上げれば、微笑んでいるような姿が元気をくれる。黄昏どきには赤く染まる山々が一日の労をねぎらってくれる。ここは南アルプスと中央アルプスに抱かれて広がる、天竜川に沿った南信州・伊那谷。この谷の暮らしに憧れを抱く人が多いのもうなずける、日常の情景だ。

東京や名古屋へのアクセスのよさも加わってか移住者が多く、また、この谷に帰ってくる出身者も多い。谷に暮らす先達と若い世代が、見ていて気持ちがいいほど良好な関係を築き、誇らしい文化を言葉と実践をもって大切に伝えている。虫踏み・蜂追いなどの聞き慣れない言葉が使われるのも、この地域ならではだろう。

ざざ虫は、天竜川上流の清流に棲む水生昆虫の総称。美しく流れのゆるい浅瀬にある石の裏などにへばりついている虫を、足に装着したかんじきでガリガリ掻くことから虫踏み漁とよばれる。漁期がはじまる12月で84歳を迎える菅沼重眞さんは、ざざ虫おじいさんとして愛される大ベテラン。伊那地方の冬の風物詩として、また大事な伝統の食文化として、9年ほど前から地元の小学5年生を対象に、漁の方法や食べ方、味を教えている。「おっ!おいしい!なんて驚く声が嬉しくてねぇ。うちは奥さんも子どもたちも食べないのだけれど、ざざ虫ファンの孫といっしょに漁をするのが今の目標。まだ数年は続けたいね」。網で獲って虫を選別し、洗ってまた選んで、さらに洗って佃煮にするという地道な工程も、おいしい、食べたい、の気持ちが勝るという重眞さん。彼自身が父の姿をみて漁をするようになったように、現代の子どもたちにも、 確かに響く交流に違いない。

食用昆虫として有名なのが、今では高級食材の蜂の子。地蜂追いは信州の男子にとっての通過儀礼ともいわれたそうで、各町村に“地蜂をやっている”名人がいて、夢中になって蜂を追いかけているというのだ。聞けば蜂追いとは、目印のこよりにカエルや魚の肉をつけ、それを蜂にくわえさせて追いかけて巣をみつける……というファンタジーのような話。そして、獲る人もいれば大切に育てる人も多いのがこの地域。

麗しき養蜂女子部の面々から放たれる熱量の高い蜂の話を聞けば、ニホンミツバチを探して育ててみたいと、自らに母性のようなものが顔を出すから不思議だ。「巣づくり、掃除、子どもの世話や見張りなど、それぞれに使命を担って組織的に生きていて、1匹約ひと月の天命を全うするんです。花の蜜を集める蜂は花形の仕事なんですよ。その神秘的で健気な姿をみていたら、可愛くて仕方ないんです」。部長の佐々木陽子さんは、養蜂家の大先輩たちの“蜂が好き”、“蜂が元気な姿を見ていたい”という甲斐甲斐しい姿に影響を受け、いまではおじさまたちの期待を一身に背負って、仲間たちと4年目の学びと蜂との対話を続けている。

言わずと知れた果実王国の長野県でも、天竜川沿いに広がる河岸段丘の斜面は果樹栽培にうってつけ。日照時間が長く昼夜の気温差も大きいという好条件も加わり、松川町には100年を超える果樹栽培の歴史がある。そんな果樹農家の先人たちへの敬意をこめ、ピオニエ(=開拓者)の名を有するシードルが、2014年にこの松川で誕生した。シードルとはりんご果汁を発酵させてつくる発砲酒のことで、きっかけは醸造家としてこの地へ帰ってきた竹村剛さんだった。農家5軒がりんごジュースの加工組合としてはじめ、平成に入ってからワインをつくるようになった「信州まし野ワイナリー」。竹村さんはここで、自社製のみならず、町内のりんご農家15軒のりんごを預かり、シードル醸造に取り組む。「ワインやシードルづくりの8割は畑ですでに終わっていて、残りは醸造家による醸造と管理。それと瓶の中で眠る期間で完成する。農家ごとに全く味が違うんですよ」。飲み続けても飲み飽きない食中酒としてのシードルを目指していると竹村さんは話す。シードルのイベント開催や、シードル用のりんご栽培など、静かな情熱家の奮闘は松川の希望といえそうだ。

松川町から北へ、駒ヶ根インターにほど近いところにある「養命酒健康の森」に立ち寄った。標高800mに広がる敷地を山から滔々と湧く清流が流れ、全体の7割が森林なので、工場というよりまさに“健康の森”。工場見学施設は昭和47年に開設され、2017年にリニューアルした。「薬である養命酒のホンモノのつくり方を、きちんと知ってもらいたいですから」と案内してくださった依田保さんの思いも強い。養命酒は400年以上前に人々の健康長寿のため創製された。国内産のもち米と、駒ヶ根高原の地下から汲み上げられる軟らかな水でつくるみりん由来の原酒に、自然界の14種類の生薬を浸して薬酒とする。輸入に頼っている生薬も、森や地域で国産化する努力が進められている。森が育む薬酒で、体が喜ぶ。それにしても南信州・伊那谷とは、清々しくて愛おしい。ふと気がつくとまた、山を見上げて深呼吸している。

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Valley Breeze!谷の風を味方に
ツール・ド・ニッポン in 南信州
2019年9月28-29日の週末に開催

長野県駒ヶ根市・松川町を起点に、谷に広がる美しい町や村、人をめぐる2DAYツアー。1日目はサイクリングと南信州のおいしい夕食会。駒ヶ根市に集合して松川町まで、天竜川に沿ってリズミカルに谷あいのアップダウンを満喫したら、りんご園で焚き火を囲んでBBQ。夜は温泉で疲れを癒し、2日目は烏帽子岳の山容を間近に望む標高1470mの小八郎岳の山あるき・山あそびを楽しみます。
参加募集はこちら:
http://www.papersky.jp/tour/minami-shinshu/

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