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Taiwan KOM Challenge 世界で最も過酷な自転車レース

, 2019/07/04

「世界で最も過酷」と呼ばれる自転車レースが台湾にある。どのくらい過酷かというと、標高0mのスタート地点から台湾の道路最高点にあたる標高3,275mの合歓山・武嶺まで105kmを、制限時間6時間半以内で登りきらなくてはならないのだ。

2011年に始まったそのレース、「台湾KOMチャレンジ」(以下KOM)は、温帯から高山帯までを一気に駆け上るダイナミックな景観の美しさ、サイクリストの挑戦心を刺激する野心的なルート設計で瞬く間に知られた存在となり、現在では世界中から集まったトップ選手と700名以上の参加者を集める大会になっている。

KOMのディレクターを務めるリー・ロジャースは、レースの始まりをこう語る。
「KOMは台湾人サイクリストのゲイリー・シューが太魯閣渓谷を登りながら、『この場所はすごい。ここでレースをやるべきだ!』と考えたことから始まりました。そして彼はそれを実現したんです」

日本でプロフェッショナルのサイクリストとしてのキャリアをスタートさせたロジャースは、台湾のチームに移り、同時にサイクリング・ジャーナリストとしても活動を始めた。主催者は彼の書いた2011年のKOM参戦記に興味を示し、コミュニケーション・ディレクターとして声をかけた。
「私が参加したとき外国人参加者はまだひと握りでしたが、昨年は450人以上が参加しました。レースはいまも大きくなり続けています」

ロジャースいわく、KOMのコンセプトはとてもシンプルだ。
「世界でも最も過酷に思えるような、これまで見たこともないような美しい道があります。太平洋のビーチや密林を抜けて高山に至る、トッププロからアマチュア・ライダーまで、その美しさと過酷さ、そしてその経験に、誰しも感銘を受ける道です。そこを女性も男性も、皆が一緒に走るのです。KOMはトップ選手から最後にゴールする選手までがほぼ同じような経験をする、数少ないレースのうちのひとつです。次々と変わっていく景色はサイクリストのためのワンダーランドのようですし、そのコースはまるで叙事詩のようです。KOMのゴールに立つ選手たちは、皆が等しく英雄なのです」

ロジャースの言うとおり、KOMは成長を続けている。数年前までこの小さな島にモンスターのような丘があることを誰も知らなかったが、現在ではサイクリストならば誰もが噂する存在だ。
「2017年のレースに参加したプロフェッショナル・ライダーのフィル・ゲイモンによれば、KOMはその年にアメリカのほとんどのライダーが話しているのを聞いた唯一のレースだったといいます。グーグルで『Taiwan KOM』と検索すれば、世界中でKOMについて語られていることがわかるでしょう。現在ではこのレースが多くの外国人を台湾に引きつけているのです」

最後に、ロジャースにおすすめの台湾のバイクルートを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「まず西海岸はあまりおすすめできません。ベストは台北の北の陽明山から最南端の懇丁まで東海岸を行くルートでしょう。日月潭という湖の周囲を走る内陸のルートもすばらしいです。いずれにせよ、台風の時期は避けたほうが賢明です」

フロリダに住む独立系自転車雑誌『Far Out Magazine』の編集者兼写真家、ブラッドは2018年にロジャースの誘いでKOMに参加した。KOMは、「世界で最も過酷」と呼ばれるとおりのレースだったという。
「ふたつの車輪の上で、いや、もっと多くの車輪の上でも、その上で過ごす一日としてこれよりタフな1日は経験したことがなかったね。レースの3/4はずっと足が痙攣していたよ。最後のセクションは経験したことのないほどの急坂で、自転車を押して歩くことになった。それでも、まるで先史時代のように草木が生い茂った太魯閣渓谷とそれに続く登坂は、僕がこれまで見たなかで最も壮大な景色のひとつだったよ。しかも景色が数キロごとに移り変わっていくんだ。6時間27分(制限時間の3分前)で市松模様のテープを切ってゴールに倒れ込んだときは、最高の気分だった」

KOMのみならず、彼は台湾そのものにも魅了されたと話す。
「台湾の人はとてもフレンドリーだと聞いていたけれど、そのとおりだった。笑顔がいろんな場所に溢れていたよ。台湾は歴史も文化も魅力的だし、もちろん食べ物もおいしい。とにかくすぐに予約して行くんだ!」

なぜ好き好んで累積標高3,500mもの坂を、自転車で登るのか? それはある意味、哲学的な問いである。105km、数時間にわたる旅のなかで、挑戦者は自らの身体と精神の極限に挑戦することになる。そんな過酷なレースにまた挑戦したいか尋ねると、彼はこう答えた。
「レースの翌日に聞かれたら、答えられなかっただろう。でも今はもっとヒルクライムのトレーニングを積んで自転車のギア比を軽くして、もう一度やりたいと思っている。それで自分の何が変わるのか、知りたいんだ」

Taiwan KOM Challenge
www.taiwankom.org

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