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  • Photography: Takashi UedaPhotography: Takashi Ueda
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ニッポンの魅力再発見の旅・京都/丹後

, 2017/01/24

私たちが知る風情ある京の町は、全体からみればほんの一部。町の南にはお茶の産地が、北は豊かな森が広がる。そのもっと北は景勝地の多い丹後半島で、日本海に面している。こんな京都もあったのか、に気づく旅へ。私たちは“海の京都”を訪れた。

京都駅から特急列車で約2時間。丹後半島の根っこのあたりに宮津市はあり、日本三景の天橋立がある。外洋に面していないおだやかな湾内で、自然によってつくり上げられた砂洲は全長3.6km。8,000本におよぶ松の多くは自然に生えたものとか。文字どおりの白砂青松。車は通れないから、歩きや自転車にとっては、格好の天然の散策道である。

まずは丹後半島の根っこ、宮津市にある二つの会社を訪ねた。「富士酢」で知られる明治26年創業の「飯尾醸造」は、地元の無農薬米を使い昔ながらのつくり方を続けるお酢屋だ。「米を育て、その米で日本酒を醸して、お酢をつくります。当社のように酒蔵をもつ醸造所は、今ではほとんどないと思います。酒は約200日かけてゆっくりお酢へ発酵させ、蔵で1年寝かせて熟成させます」とは、五代目当主の飯尾彰浩さん。途方に暮れるような歳月の手間暇に、ただ圧倒される。三代目が農家に頼み歩き、約30世帯の契約農家に無農薬で育ててもらうようになって50年以上。「よい材料を使い、時間をかけてよいものだけをつくる。それは蔵人の自信でもあり、愛用くださる方の“おいしい”につながりますから」。日本一だから、富士。芳醇な、旨味ある本物の酢の味は、丹後の大地と水と、人の心でできている。

天橋立の風景が、「竹中罐詰」オイルサーディン缶のトレードマーク。「かつて、天橋立では脂ののったイワシが獲れました。今、漁獲量は減少しているので、よい素材をより新鮮に仕入れるのは大変。お召し上がりになるお客様に喜んでいただける品質の原料を厳選して缶詰を製造しています」。製造の主力は地域の女性たち。魚の扱いもお手のものだ。社内に掲げられる“品質こそ会社の命 美味しいが会社の誇り”のとおり、蓋を開ければイワシが美しく並ぶ様子にうっとり。綿実油がしみこんで熟成された深い味わいは、素直に美味、なのだ。

宮津から丹後半島の突っ先にある伊根町へは、70分の船旅。4月から11月の間の土日祝日なら、伊根航路を利用するのもいいだろう。伊根といえば、海にせり出し妻入りに建ち並ぶ舟屋が、湾内をぐるりと囲む景観だろう。1階は海からそのまま帰着できる舟のガレージ、2階は漁具置場や居室として使われる。舟屋の町並みは、漁村として全国で初めて重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。町歩きで頼りになるのが「伊根浦創造塾」主宰の永濱克良さんだ。地域の人たちは、生きる遺産。「漁業があるから、伊根がある」そう話す彼が、人から人へ、舟屋の風景とともに後世へ伝える伊根にまつわる話は、尽きない。
 丹後では、杜氏がその土地の水と米を使った昔ながらの製法で酒づくりをする蔵も多い。「丹後のクリーンな水で、地域に負荷をかけず環境を守っていくことも僕たちの仕事」そう話すのは、「竹野酒造」杜氏の行待佳樹さん。弟の達朗さん、皓平さんと、若き三兄弟で挑む気鋭の蔵だ。力を注ぐ純米酒「蔵舞」。その冠に米の名称を添え、酒米の品種や農家ごと、タンク違いなどに分け酒をつくる。「蔵に併設のスペース「bar 362+3」で、じっくり試飲していただいています。窓の外はこのとおり丹後の田畑風景。この環境で、五感で飲んでもらうことが大切だと思っています」。好きなものを好きと感じて飲んでほしい。自分が信じる未来へ一心に進む姿が、酒の味とともに印象に強い。

グーグルの地図に「農家パン 弥栄窯」と入れれば、一目瞭然。彼らが開業しようとする窯の場所は、丹後半島の山中だ。小麦の栽培から製粉、パンづくりまで行う“農家のパン職人”がいるフランスで、農家のパンづくりを学んだ太田光軌さん。「この場所と、ここに暮らす人に惹かれたんです」。縁あって移り住み、春の開業を見据え、奥さんの治恵さんとともに築百余年の大きな茅葺きの家の改装に奮闘中だ。周囲には、野菜や小麦をつくってくれる仲間もいる。この若い夫婦には、そういう人たちと手を携え、交わりながら生きていこうとする静かな覚悟がみなぎっている。

海も山もある豊かな丹後半島旅は、滞在する場所できっと、もっと特別なものになる。“暮らすように泊まる”がコンセプトの「HOLIDAY HOME」は、服と雑貨を扱うショップBshopが久美浜湾を臨む場所につくったホテル。約6,000坪の敷地に6室の客室棟が離れて点在。もともとあった木々を生かして雑木林や散策路をつくり、野菜やハーブの類いは、輸入や卸といった本業の傍らスタッフ総出で育てている。敷地内で、専務の森さんが熱心に草取りをされているところにも遭遇。みんなで積んだという客室の石壁は、スタッフには思い入れのあるできごとのひとつ。ここが、本当に家のように感じられたのは、心通う時間と空間のおかげ。いいものをつくる、いいものを伝える。丹後半島は、そういう一心であふれていた。
 
豊かな自然へ挑む、京の海をめぐる旅「ツール・ド・ニッポン in 京都 / 丹後」
2017年3月25日-26日の週末に開催! 参加募集中スタート!
www.papersky.jp/tour

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