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PETER SUTHERLAND|NYの写真家たち(3)

父親を亡くして自分を持て余していた時期に、カメラを手に取ったことが写真をはじめるきっかけになった手づくりのZINEが認められ、自転車、鹿、グラフィティとテーマに沿った写真集を次々に発表してきた。「なにかテーマを決めて、そ […]

11/09/2016

父親を亡くして自分を持て余していた時期に、カメラを手に取ったことが写真をはじめるきっかけになった手づくりのZINEが認められ、自転車、鹿、グラフィティとテーマに沿った写真集を次々に発表してきた。「なにかテーマを決めて、それに沿って物語を構成するやりかたから、最近では被写体をあらかじめ決めずになにかが起きるのを待つ、というアプローチにシフトしている」
表現のアウトプットにも変化が見える。「1枚の写真の発揮する力を信じる気持ちには変わりはないけれど、複数の写真を組み合わせたり、ビデオやドローイングを使ってインスタレーションにすることで、表現の方法に幅をもたせることに興味が出てきたんだ」
どんなカメラを使うか、どんなライティングをするかといった技術的なことにはあまり興味がないというピーター。写真を撮るという行為以上に、写真を使って表現できるなにかを追求する作業に惹かれるのだという。「言葉で言い表すことのできない、人生の詩的な瞬間を集めることで、表現したい」
同じ理由で、最近はキュレーションすることにも興味をもつようになってきた。「たとえば祖母が撮ったなんでもないスナップショット。アマチュアが撮った家族写真。作家でいえばウィリアム・エグルストンやポール・グラムのように、人となりが滲みでるようなパーソナルな写真が好きなんだ」
この夏はネパールでストリートキッズや聾唖の子どもに写真を教え、彼らの作品をまとめた『SIGNS and VOICES』を発表した。「露出が違っていたり、構図がデタラメだったり。でも完璧な写真なんて、つまらないよ」

SIGNS AND VOICES MAIA RUTH LEE / PETER SUTHERLAND photo workshop in NEPAL from peter sutherland on Vimeo.

 
◆ Peter Sutherland ピーター・サザーランド
ミシガン生まれ、コロラド育ち。大学卒業後にニューヨークに上京。6部自作した最初のZINEが『VICE MAGAZINE』やギャラリーの目に留まり、写真家として仕事を得るようになる。写真集を次々と発表する一方で、現在はリチャード・プリンスのドキュメンタリーを製作中。
www.petersutherland.net
This story originally appeared in Papersky No. 34.