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  • Photography: Lee Basford
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BRUNOと行く、夏の週末キャンプ旅

, 2016/08/18

「ワォ!!」。車窓をぼんやりと眺めていたジュリエンさんが突然声をあげた。彼が指さす方向に目を向けると、雲の隙間から富士山がちらりと顔をのぞかせている。僕らが今いるのは、品川発の新幹線のなか。目的地は富士山の麓にある、田貫湖キャンプ場である。荷物は輪行バッグに包まれた4台の自転車と、最小限のキャンプ道具だけ。大好きな自転車とキャンプをミニマムな装備で一緒に楽しもうよ、というのがこの旅の趣旨なのだ。

ちなみに「輪行」とは、自転車を専用の袋に入れて電車・飛行機・バスといった公共交通機関で運ぶこと。輪行さえできれば、自走では行けない場所でも簡単に足を運べるようになる。自分の愛車で気持ちいいところだけを走るのだから、楽しくないわけがない。メンバーは映像クリエーターの北山大介さん、軽量のアウトドアプロダクトを製作する「Fairmean」のジュリエン・セイント・ジェロームさん、編集長のルーカス、そして筆者の4名である。旅先で何が起きるのか、その興奮を抑えるように到着を待つ。

三島駅で降りたら、東海道線と身延線を乗り継いで富士宮駅へ。品川駅からだとわずか2時間。日々の忙しさで凝り固まった心を解きほぐすのにはちょうどいい。のんびり電車旅を楽しみたいという人は、あえて鈍行で行くのもいいだろう。

富士宮焼きそばでおなじみの富士宮駅がライドのスタート地点。さっそく輪行バッグから自転車を取り出す。僕らのキャンプ&自転車旅を支えてくれるのは、旅の道具として自転車づくりをするスイス生まれの「BRUNO」だ。旅自転車のスタンダードとして人気の700Cシリーズが2台、20インチながらロングライドも楽しいVENTURAシリーズが2台である。組み立てが終わったら…いざ出発!

今回の旅を先導してくれるのは、北山さん。自身も根っからの自転車乗りでキャンプも大好き。ビギナーでも楽しめるようなコース設定を考えてくれている。
「さあ、そろそろ出発しようか」

4人はそれぞれの自転車にまたがり、ゆるりとペダルを漕ぎだした。まず訪れたのが1,300を超える全国の浅間神社の総本宮「富士山本宮浅間大社」。境内に入ると、朱色の社の目の前で地元の子どもたちが踊りの練習をしているようだ。独特のリズムになめらかな手の動き。聞けば、ちょうどこの日にお祭りがあるらしい。
「あと30分ぐらいしたら神輿もくるよ」と地元の人が言う。走り出したばかりだけれど、地元のお神輿を見られるチャンスなんてそうそうない。もちろん僕らの選択肢は決まっている。
「目的地は田貫湖キャンプ場だけれど、面白いことがあれば、その都度予定変更すればいい。予定はあくまで予定だからね」と北山さん。こうした予期せぬイベントもまた、旅の醍醐味のひとつ。気の置けない仲間たちとのライドだから、むしろこのくらいのゆるさがちょうどいいのだ。

信号をひとつ越え、またひとつ越えるたびに、街が遠のいていく。10kmほどは走っただろうか。気が付けばほとんど信号はなくなり車の数もまばらになっていた。それと同時に、空気が少しずつ透き通っていくのがよく分かる。
自転車とキャンプに共通する楽しさ

「あそこに地元のスーパーがあるよ」とルーカス。店の軒下には、地元産の採れたて野菜がずらりと並べられている。晩ごはんのメニューは決めていない。なぜなら現地調達すればいいと思っていたから。そのぶん行きの荷物も軽くなるからだ。

BROOKSのパニアバッグに買いこんだ食料を詰め込み、ゆっくりと坂を上る。食料の重さをペダルで感じながらさらに踏み込むと、汗がじわりじわりと滴り落ちてきた。「カチッ、カチッ」ギアチェンジするときの音が静かにこだまする。この坂を上り切ったら、白糸の滝に到着だ。

白糸の滝は、戦国時代から江戸時代にかけて、富士講(民衆信仰のひとつ)の開祖といわれる長谷川角行が修行を行った地で、昭和11年には国の名勝及び天然記念物にも指定されている場所。滝の手前の土産物街を抜けると一気に気温が下がり、水しぶきの音が聞こえてくる。階段を降りるとそこには、岩壁全面から滝があふれだす壮大な光景が広がっていた。明らかに空気の密度が違う。まるで、坂道を上り終えた僕らへのご褒美のようだ。
「コース設定をするときは風光明美な場所を必ず入れること、そしてちょっとだけ辛いルートを加えることかな。それだけで旅の深みがグンと増すから」

キャンプ場に到着したらまずはテントの設営から。北山さんとジュリエンさんは、普段からよくキャンプをしているだけあってお手のもの。慣れた動作で組み上げ、すぐに薪をおこした。晩ごはんのメニューは、採れたて野菜のホイル焼きに、枝豆やとうもろこし、ステーキを焼いたりと、現地調達した素材をシンプルに調理しただけ。

「その土地の旬を、その日のうちに食べる。これ以上の贅沢はないよね。焼いて塩・胡椒すればそれだけでおいしい」とジュリエンさん。また、自転車でキャンプとなると荷物は最小限にするのがベストだが、仲間と行けばキャンプ道具はもちろん、調理器具もシェアできるのもいい。

暗闇のなかでパチッパチッと焚火がはぜる。絶え間なく形を変えていく炎はどれだけ見ていて飽きることがない。

自転車とキャンプ。どちらも共通していえるのは、今の時代において「不便」であることかもしれない。自転車よりもクルマの方が圧倒的にラクなのは誰もが分かっている。
「ミニマムの楽しさ、なのかもね」と焚火の最中に誰かがポツリと言った。必要なのは自転車とわずかなキャンプ道具と、ほんのちょっとの冒険心。たったこれだけの要素で、ここまで充実した気分が味わえる遊びはなかなかない。自転車とアウトドアが好きなら、一度は体験する価値がある。

BRUNOと行った、1泊2日の輪行キャンプ旅。行きが上り基調だったから、帰りは当然下りのボーナスステージ。向かい風をカラダ一杯に浴びていたら、いつしか頭のなかがクリアになっている自分がいた。他のメンバーもきっとそう感じているに違いない。

BRUNO
http://www.brunobike.jp/

» PAPERSKY #51 Upstate New York | Farm & Table Issue

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name
田貫湖キャンプ場
place
静岡
address
富士宮市猪之頭2929-10

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