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  • Photography: Masashi Kuromoto
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ニッポンの魅力再発見の旅 名古屋

, 2016/01/13

“名古屋”で思い浮かぶのは、シャチホコ、手羽先、味噌カツ、トヨタ、えびせん、天むすにひつまぶし。私たちが描く名古屋のイメージはわかりやすいものだが、それはほんの一部にすぎない。周囲にある、いくつもの顔立ち異なる愛おしい町を知る旅へ。

どこを訪れても目にとまったのは、「日本でいちばんの……」。どうやらその枕詞は、名古屋(愛知)の人の十八番らしい。横浜や大阪に次ぐ政令指定都市ながら、名古屋は田舎ですよ、という地域の人の声も聞かれる。じつは一度も愛知を離れて暮らしたことがない、そんな人も少なくないこの町は、つまり、愛おしいのではないだろうか。

名古屋を旅の起点に、近郊の町を訪ねて。豊田市、瀬戸市、犬山市と長久手市へ、“ラブリー”な町と人を求めて出かけてみる。

名駅(名古屋駅)から歩いて約20分。円頓寺商店街で約80年の歴史に一度は幕を閉じた喫茶店「西アサヒ」。地域の人に愛される寄り合いの場でもあったここは、町づくりに携わっていた田尾大介さんによって2015年に生まれ変わった。復活した喫茶に再び集う地域のおばあちゃんたち。食堂には仕事終わりのサラリーマン、ゲストハウスには国内外の旅人が訪れる。女将の伊熊志保さんも、この町の立地上「通過点でいい」と話す。東京から途中下車して、岐阜や関西、北陸や四国を目指す人も多い。通過する町で過ごす、地域の人と旅人とのひとときの交わりが心地いい。

珈琲を頼めば、トーストやサラダ、玉子などがつくというのが名古屋モーニングの嬉しいしくみ。老舗喫茶店「KAKO BUCYO COFFEE」は、目の前のオーブンから焼き上がるできたてのパンや小倉トーストを求めて、出勤前の人たちでにぎわう。丁寧に焙煎される珈琲と「小豆のおいしさが出るように」と、筧やすこさんが研究を重ねて手づくりする、ここだけのあんこ。これぞ名古屋!を感じつつも、三種のトーストから選べるモーニングと自家焙煎を求め「吉岡コーヒー」をはしご。

訪れた10月の町は、読書の秋らしく本への愛にも溢れていた。「ON READING」の黒田杏子さんと義隆さん夫婦がしかける「ブックマークナゴヤ」は約1ヵ月、本屋やカフェ、ギャラリーなどそれぞれが、本がもつ魅力を伝える催し。「知らないことを知り興味を抱くことで、世界が広がる。本で、自分たちを取り巻く世界が広がればいいなと思うんです」。平積みされた新刊が別の棚へ移ってもなお積まれていくように、黒田さんたちの10年の積み重ねは、未来へ続く。

愛知最大の敷地面積を誇る豊田市。旭地区の山里で生まれ育った安藤征夫さんは、荒れる山を見て、空き家ばかりの集落を見て、ただ悲観するのではなく自らなんとかしようと活動する。しかも週末のような余暇のなかで、だ。本業は建設業。空き家の主との交渉から移住者の面接、里山整備、薪の生産・販売から宅配システムの構築もする。また子どもたちが山に興味をもつようにと、「ガキ大将養成」として米づくりや登山、ツリーハウス&秘密基地づくり、自然薯づくりや薪割りで小遣い稼ぎなども行う。「みんなで同じ活動をすることによって、疲弊した気持ちを解放できたらいい」とは、どの活動の根底にもある安藤さんの思い。「すべては自分のこと。町のためとか誰かのためというのではなく、自分や家族が暮らす環境がよくなるために、自分がなんとかしたい。楽しいと思うからやるだけ」。仕事と余暇と、とにかく全力で“自分にできること”へひたむきな姿に、胸が熱くなる。

豊田市から峠を越えてたどり着くのは、千年余の焼き物の歴史をもつ瀬戸市。どんな種類の焼き物をもつくる技術の高さから、陶磁器全般を表す“せともの”という言葉が生まれた。名古屋から1時間足らずの好立地。地域の人の暮らしを垣間見ながら、ノスタルジックなひとときを過ごすのにちょうどいい。

名古屋から北へ約30分。犬山市は岐阜県との県境に位置する。木曽川では、伝統漁法でもある鵜飼が行われており、水上で間近にその歴史絵巻を楽しむことができる。そんな町の情緒に欠かせないのが、国宝・犬山城だろう。創建時の構造や手法を残して現存する日本最古の天守をもつ犬山城の主は、一子相伝。1617年、徳川家から拝領した成瀬正成に始まり、成瀬家の個人所有の城として代々守られて今日があるというのだ。初代から大切に伝う家訓には「お世話になった人への恩は返す」とあることを、成瀬家末裔の成瀬淳子さんはまっすぐに話す。「犬山城は他のどのお城よりも修繕・管理をこまめにしています。明治期の濃尾震災で破損した際は、多くの市民からの義援金に助けられました。数々の恩へのお返しをしながら城を守り続けることについて、地域の人の理解を得ることが私の大切な使命と考えています」。2000年に城主代理を任された淳子さんは、住まいのあった東京から犬山へ戻り、2004年に財団法人・犬山城白帝文庫を設立。城は財団法人の所有となり、犬山市が管理を担う今も、淳子さんの日課は変わらない。「私にとっては、わが子のようなお城です。変化を逃さないように見守るのが、私の役目。でも不思議なもので、“今こそ”という修繕が必要な折に、自然と訪れる人が増えたりするんですよ」。淳子さんの愛溢れる言動に、犬山城の凛々しさが重なった。

PAPERSKY Tour de Nippon in 名古屋(2016年3月開催)
http://www.papersky.jp/tour/nagoya/

PAPERSKY Tour de Nippon in 名古屋 Movie
https://youtu.be/o2losYJ1Bno

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