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  • Cameron Allan Mckean

長く深い洞窟から持ち帰った布|Yaeyama weavers|染織 1

, 2015/12/10

八重山の女性は400年にわたって、織物を年貢として上納してきた。織りの作業は難しく、根気のいる仕事である。織物の原料となる天然繊維や植物染料は、山や、農地のなかを必死で探しまわって集めねばならなかった。かつて栄えた織物の文化は19世紀に絶頂期を迎えたのちに勢いを失い、衰退を続けている。だが、現在も受け継がれている伝統の復興に力を尽くしている島民たちがいる。

石垣島は日本の最南端に位置する八重山諸島の中心を占める島であり、古い伝統が今でもそこかしこに見られる土地である。19世紀後半に日本の本土から好奇心溢れる考古学者たちが石垣島に渡ってきたが、発展の中心から離れた場所を探し求めた末に、独特の時間と文化が生きる鬱蒼とした緑の島にたどり着いたのである。

石垣島は過去500年間の大半は、栄華を誇っていた琉球王国の領土とされていた。複数の国の間に位置し、多様な文化が入り混じる石垣島は、しばしば四方八方から圧力をかけられた。台風などの自然災害に襲われるだけでなく、琉球王国が課してくる重い年貢にも苦しめられる。琉球王国への貢納布として、良質な手織りの布を生産せざるを得なくなった。このような経緯を経て生まれたのが、八重山上布である。

今年70歳になる新垣幸子は、石垣島にある工房で八重山上布の写真集を眺めていた。「白無地の布は一般税として扱われましたが、織り柄のある布は珍重され、特別扱いを受けました」と新垣は話す。「織り柄の入った上布の注文を受けた織り手は、(報酬として)米をもらったといいます」。

八重山諸島に来ると、昔にタイムスリップしたような感覚が強烈である。それはドキドキしながら長く暗い洞窟に入っていくような感覚だ。八重山諸島の歴史は第二次大戦を境に大きく変化した。新垣の仕事は言うなれば、その深い洞窟に分け入る冒険の旅に出て、その洞窟から宝物を持ち帰るようなものだ。

これまでの人生を八重山上布の織り手として過ごし、膨大な知識と経験をもつ新垣でさえ、昔の八重山上布を見ると、どんな方法で織ったのか、どのように麻糸を紡いだのかわからないことがあるという。新垣は長年、八重山上布の写真集を穴があくほど見つめ、知らない織り柄の見本を探して、木製の織機を使って再現しようと苦心し続けてきた。彼女が示した見本は、信じられないほど精密な柄の複写である。だが、その織り方を新垣に伝授したり、麻糸の縒り方、天然繊維の集め方、布の染め方などの難しい作業のコツを説明したりしてくれる年長の織り手はいない。一度消えてしまった織物の技を過去に遡って再発見し、現在に蘇らせるため、新垣は原材料の収集、加工、織りの作業まで、八重山上布の工程をすべて自分で再現している。

「昔のやり方を調べていると、新しい考えが浮かんできます」、新垣は私たちを工房や倉庫に案内しながら言う。土が盛られた小さな区画には薄緑色の植物が生えている。数十センチの高さしかない。新垣はその1本を根から切り取り、茎の部分を刃のないカミソリで引くようにしごき、繊維を取り出した。近寄って見てみると、彼女は続いて取り出した繊維を手で割いて1本の糸をかざしてみせた。この糸がすべての始まりである。

新垣幸子
沖縄県無形文化財「八重山上布」保持者。琉球王朝時代の着物の復元に従事し、括り染めの技法を復活させた。後継者育成にも尽力。

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石垣島
place
沖縄

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