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  • ベルン市内のトラムターミナルに州旗がたなびく。
  • ツイットクロッゲはスイス最古の時計塔のひとつ。
  • スイス連邦議会議事堂前のファーマーズマーケット。
  • 客との対話がマーケットの醍醐味だと語る出店者。
  • BIOの果物が並ぶ売り場。
  • 市街地から車で15分ほどで有機酪農場へ。
  • 牛の表情とカウベルの音に癒される。

ベルンで感じた有機農業への意識|スイス、持続可能な食 (3)

, 2015/11/18

ベルンという地名は、ドイツ語の「Bär (=熊)」に由来するといわれている。12世紀後半に街を創設したツェーリンゲン家のベルトルト5世が、この地で最初に狩猟を行ったときの獲物が熊だったから、というのが有力な一説だ。熊が市の紋章のシンボルにもなっており、州旗にも描かれている。中世の街並みが残された旧市街地がユネスコ世界遺産に登録されているこの都市は、現在のスイス連邦の首都でもある。

そのまさに中心部、スイス連邦議会議事堂の前では、毎週火曜日と土曜日の朝にファーマーズマーケットが開催されている。青空市が開かれてからの歴史は長く、ベルンとその周辺部で収穫された新鮮な果物や野菜、花などが、中世より街の中心部に集められてマーケットが形成されていたという。最近では他の地域や国の生産物も売られているそうだが、やはり圧倒的に地元の新鮮で良質な食材のイメージが強く、価格はスーパーマーケットで買うより高いものの、いいものを求めて人々が集まっている。

「健康に配慮して、安全な食材を手に入れたい消費者が多いと感じる」と、出店者のひとりが語る。「決まりごともたくさんあってBIO認定を得るのは大変ですし、生産性を高めるのも簡単なことではないけど、化学肥料などに頼らない農家はこの数年間で確実に増えています。ここでお客さんと直接コミュニケートしていると、安全で美味しい野菜や果物が求められていることを実感できるから、有機農業の取り組みを続けるモチベーションも高まるわ」

スイスでは現在、全農業従事者のうち11〜12%が有機農業に取り組んでいるといわれている。もちろん州によって地形も気候も多様なので、その割合は地域によってばらつきがある。例えば、スイス東部のグラウビュンデン州では、全農家の50%以上がBIO認証を受ける農産物、乳製品を手がけている。スイスは有機食材の購買率が高い国であり、多くの国民が関心を寄せていることは事実だが、労力がかかり、手間に対する収益率が決して高いわけではない有機農業に誰もが手を出すかというとそんなことはない。また、化学肥料や農薬を生産する企業もスイスにはあり、経済を維持し国民の生活を保障するためには、政府としても有機農家ばかりをサポートするわけにもいかない。農業省の職員は「政府としてはあくまでも農業全体を支援し、その水準を高めていくことを目標にしているのです」と話し、有機農業に偏った話を避けていたのも当然といえば当然か。

旅を続け、人と出会って話を聞くうちに、国民の意識が高いスイスといえども、何の苦労もなく有機農業の野菜や果物が豊富に流通しているわけではないことがわかってきた。やはり、高い意識を持つ人の声が市民の意識に影響を与え、共有されることで、実際に安全な食物の需要と供給が生まれていく。この流通はまさに、市民たちの当事者意識の産物だといってもいいだろう。
さて次回は、より標高の高い地帯へ。どのような食の生産が行われているのだろうか。スイスの旅は続く。

取材協力:在日スイス大使館
https://www.facebook.com/SwissEmbassyTokyo

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