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旅立ち|世界の郷土菓子をめぐる自転車旅 001

, 2015/04/26

こんなに重たそうな自転車は見たことがない。前輪後輪の両脇には荷物でパンパンになったバッグが計4つ、荷台にはバッグパックが、おまけにハンドルにまで小さな荷物が取り付けてある。数千円のママチャリくらいしか乗ったことのない僕が、バランスを取るだけでも難しそうなこの自転車にまたがって、長い長い旅に出ようとしている。それも日本からは遠く離れた異国の地、フランスはミュルーズをスタート地点にして。

“自転車乗り”っぽい装いといえば、ぎこちなく頭に乗せたヘルメットくらいのもので、他に身に付けているのはユニクロのTシャツにパンタロン、履き慣れたスポーツシューズだけ。近所のスーパーに行くのと大差ない。「荷物重すぎ!」とFacebookにコメントしつつも、想像を絶する自転車の重みとは対照的に、僕のココロは軽かった。

旅のスタートを切った2012年6月1日から遡ること数ヶ月、僕はフランス東部のミュルーズにある老舗の菓子屋で働いていた。「1年でヨーロッパ全土の郷土菓子を食べて回ろう」と意気込んで、フランスに移り住んできたのだ。チョコレートムースやバタークリームを作ってアントルメと呼ばれるホールケーキを仕上げる仕事をこなし、それが終わると1日に2つのフランス菓子を食べてはブログに納める毎日。それはそれで充実していたのだけれど、VISAが切れる期限が迫ってきて気付いたのは、この1年でほとんどフランス菓子しか食べていないという事実だった。「このままではヨーロッパに来た意味が無い。日本に何も新しいものを持って帰れない。まだ日本には戻れない!でもフランスにはもう居られないし……」。と世界地図を眺めていると、ふと、こんなワードが浮かんできた。ユーラシア大陸、世界の郷土菓子、自転車。

具体的なプランなんて、ちっともなかったけれど、週末には近所の自転車屋に向かっていた。自転車屋のお兄さんが並べる2台から直感で選んだのは、乗りやすそうな青色の自転車”TORPADO T411 BUSINESS”。今日からこいつが相棒だ。それからヘルメット。これも直感で軽いものを購入。サングラスは似合わなかったのでやめておいた。家に帰るとイギリスの通販サイトで足りないものを物色した。自転車用バッグ、それを取り付ける為のキャリア、空気入れ、六角レンチや修理キット、ボトル、それに寝袋。「荷物が到着するまでは団子の試作でもしていよう」とのんきに過ごしていたが、待てど暮らせど届かない。さすがに焦って郵便受けを往復する日々を過ごし、ようやく荷物を受け取ったのは出発前日のことだった。届いたバッグを手こずりながら取り付けて、思い付く限りの荷物を詰め込み終わった頃には、すっかり夜が明けてしまっていた。とにもかくにも旅の準備は整った。ユーラシア大陸を越え、目指すは上海。僕は自転車の漕ぎ方も分からないまま、右足を置いたペダルに思いっきり体重をかけた。

ライター:林周作/郷土菓子研究社
http://www.kyodogashi-kenkyusha.com/
エディター:南口太我

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