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エネルギッシュな春のはじまり、八戸えんぶり

, 2015/02/25

雪深い東北の2月。まだまだ寒さ凍みる青森・八戸は、なぜか街全体が温かく、熱気を帯びている。すれ違う人々からも感じられる独特の高揚感。そう、それはまるでひと足早い春がやってきたかのような、祭りを前にして町がにわかに温かになってきている証拠。八戸では街全体で、春を呼ぶ祭りが2月17日から4日間かけておこなわれる。祭りの名前は「八戸えんぶり」。国の重要無形民俗文化財であり、青森冬の三大祭りのひとつに数えられる、800年もの歴史ある祭りだ。

「えんぶり」とは、その年の豊作を祈願するための舞のこと。太夫と呼ばれる舞い手が、牡丹の花などで装飾された華やかな烏帽子を被り、唄に合わせて縦に横にと頭を大きく振る。2種類の舞があり、テンポが速く激しい舞は「どうさいえんぶり」、ゆっくりとした唄とともに踊るえんぶりを「ながえんぶり」という。どちらの舞も稲作の一連の動作を示しているといわれているが、白い雪の上でおこなわれるその舞は、じつに勇ましく、神々しさすら感じるものである。

またこの祭りには、大人だけでなく、子どもも参加する。えんぶりの途中途中で恵比寿舞や松の舞と呼ばれる踊りがあり、ここが子どもたちの出番だ。一所懸命に練習をしたとひと目見ればわかるその舞は、見る者の心を温かくしてくれる。

八戸市隣接町村も含め各々で組を編成し、毎年30組以上がこの祭りに参加して、街を練り歩く。だから、迫力のある組がえんぶりを披露するとなれば、どっと人が集まり、その熱気は寒さを吹き飛ばし、まるで春そのものとなる。

「えんぶり」の名前の由来は諸説あるが、ふたつの説が有力だ。ひとつは「えぶり」と呼ばれる農具を手に農民が舞ったことから、その舞を「えぶり」と呼んでいたのがなまったという説。もうひとつは、大地を揺さぶり、大地に眠る神様を呼び起こすことを指す「いぶり」という言葉がなまったといわれる説だ。

いまとなってはどちらの説が本当なのかはわからないけれど、舞を見れば、きっと両方とも正しいと思えるだろう。農具を持って大地を揺さぶるえんぶりは、800年もの間、街と街をつなぎ、大人と子どもという世代をつなぎ、過去と現在という伝統をつなぎ、さらには季節をもつないでいる。この祭りは、もはや自然の一部。八戸の春は、毎年この祭りからはじまっているのだ。

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