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岩手御所野の土を野焼きした土面|Jomon Modern Crafts

「この土面は岩手の御所野遺跡の粘土でつくり、野焼きしたもの。モチーフになっているのは、岩手県から出土した大きな土偶の頭です。その土偶はあごに等間隔で穴があけられているんだけど、なんの穴かは不明なんです。でも岩手の県立博物 […]

02/12/2015

「この土面は岩手の御所野遺跡の粘土でつくり、野焼きしたもの。モチーフになっているのは、岩手県から出土した大きな土偶の頭です。その土偶はあごに等間隔で穴があけられているんだけど、なんの穴かは不明なんです。でも岩手の県立博物館で民俗資料のチャグチャグ馬コの木製品を見たときに、やはり木に穴をあけて植物の繊維をさしていた。なるほどと思って穴をあけてカラムシの繊維をさしてヒゲにしたんですね」
修復家の堀江武史さんは楽しそうに話す。都内有数の土器出土量を誇る武蔵野台地に暮らし、小学4年で土器のかけらを拾って以来、縄文とのつきあいも長い。現在は遺物専門の修復家として活動する傍ら縄文をテーマに作品をつくり、本物の土器と組み合わせた企画展を全国の博物館で行っている。
作品づくりの原動力になっているのは、やはり修復家として縄文を知り尽くしているからこそのリアリズムの追求だ。素材や技法だけではなく、作品制作や修復作業で遺跡に行くときは必ず近くでテントを張り、キャンプをしながら自然暮らしを体感するところまでこだわるという。
「つくってみたからわかることがある。遺跡のそばで過ごしてわかることもある。縄文を立体的に捉えると、いろんなことに気づかされます。たとえば縄文人がいい粘土を選ぶ目をどれだけもっていたかということとかね。ものをつくるうえで、とてもいいヒントがもらえるんです。それをどう作品に活かすか。そういうことをやっていきたいですね」
堀江武史 Takeshi Horie
1967年東京生まれ。修復家・府中工房主宰。國學院大學で考古学を学ぶ。修復家として独立後縄文遺物と現代アートを並置した展示を行っている。年始に開催のアート展「ARTs of JOMON」(表参道スパイラル)に参加が決まっている。
 
» PAPERSKY #46 Northern Japan | Jomon & Craft Beer Issue