Menu Links
  • Photography: Takafumi Inoue
  • Photography: Takafumi Inoue
  • Photography: Takafumi Inoue
  • Photography: Takafumi Inoue

ニッポンの魅力再発見の旅 鳥取

, 2014/08/28

山地の石や岩が風化して砂となり、川から海へ流れ出たものが、再び陸地へ堆積し海岸砂丘となる…。10万年以上の歳月をかけてできあがった鳥取砂丘は、日本で唯一天然記念物に指定されている砂丘であり、鳥取の至宝だ。

鳥取砂丘の東側には、広大ならっきょう畑が広がる。日本屈指のらっきょうの産地である鳥取市福部町では、白くて実のしまったしゃきしゃきな“砂丘らっきょう”を栽培。植えつけの夏、花咲く秋、雪の下で育つ冬、そして収穫の春と、約80戸の生産農家が砂地の風土とともに生きる。

6月下旬、らっきょう完熟期の終わりごろに、らっきょう農家の香川さんご夫婦を訪ねた。妻の佐江子さんが切り子に扮し、らっきょうの上下を手際よく包丁で切り落としている。「1年かけて大事に育てたから、祖末にできんのよ」。植えつけと収穫後のらっきょうを切る作業は、すべて人の手で行われるというから大変な仕事である。

人の手といえば、鳥取砂丘ではボランティアによる除草や清掃に力を入れている。そして平成21年には、砂丘を守り育てる本格的な取り組みとして、「鳥取砂丘レンジャー」の活動が始動した。2名の専属レンジャーとスタッフ4名が、毎日交代で砂丘を見守り続けている。

「前職を辞めてすぐ、“砂丘レンジャー”の募集を発見。生まれ育った町の遊び場だった砂丘の魅力を、伝え守るレンジャーの仕事は、やりがいがありますよ。砂丘は見飽きるくらい見ていますけど…(笑)。そういえば、砂丘の斜面には縦方向にしか波紋ができないって、知ってました?」通称・青レンジャーの石橋和明さんの話は尽きない。砂が動く様子や高低差の大きな砂丘列、その斜面の風紋や砂丘の成り立ちなど、自然の造形美を眺めていると、悠久の時の流れも感じる。

豊かな自然や土地の歴史が育んだ手しごとの数々も、鳥取旅でふれるべきもののひとつ。民衆の「民」、工芸の「芸」、民芸という考え方を提唱した柳宗悦によると、民芸とは、用途を誠実に考えた実用品・普通品であり、使うほどに親しみを覚えるもの。地域独特の手しごとを残すことも、民芸の大事な柱であった。鳥取市出身の医師・吉田璋也は、この考え方に共感し、鳥取に古くから残る陶磁器、木竹工や染織など民芸品の制作を指導・監督したプロデューサー。その確かな足あとが「鳥取民藝美術館」「鳥取たくみ工芸店」「たくみ割烹店」に残されている。

「鳥取民藝美術館」は、障子の格子模様やスイッチプレートなど、璋也自身が細部まで趣向をこらした美術館だ。山陰をはじめ、璋也が全国各地や中国、韓国、西洋などより収集した貴重な民芸品や工芸品の数々は、簡素で素朴な風情があり、現代の暮らしのなかにあってもまったく違和感がない。美術館で鑑賞した後は、「鳥取たくみ工芸店」と「たくみ割烹店」へ。先ほどまで眺めていた器で実際に食事をいただくと、美しい民芸品の実用的な魅力にも触れられる。

「(先人の良いものを)よく見なさい、というヒントは、いつも意識しています。ここで民芸品に触れることで、 “見方”が変わる。いつも学ばせてもらっています」と話す延興寺窯の山下清志さんは、生前の璋也から直接指導を受けた職人のひとりだ。清志さんは璋也の呼びかけにより、一度は絶えた浦富焼(磁器)を8年かけて兄(故・山下碩夫)とともに復興し、独立。その後、雑木林だったこの場所に、焼きものに耐えうる土を見いだし、延興寺窯を築く。

のどかな田畑のなかにある延興寺窯を訪ねると、清志さんととびきり元気な奥さまの悦子さん、父の背中を見て作陶に向かう娘の裕代さんが迎えてくれた。「釉薬もすべて独自の配合ですので、同じ白や黒でも他とは違うここだけのものです。しのぎ、面取りといった技法を好んで用いています」。 

土質の良し悪しではなく、豊かな自然とここでとれる土を使って真摯に作陶する。「璋也は、つくり手を育てたいという思いのある優しい方でした。中華料理店へ連れていってもらったことがありますが、お酒が弱いので紹興酒に砂糖を入れて飲んでいましたよ」。デッサンも得意ではなかったそうで、清志さんたちへ試作品のイメージを伝える際は、写真をなぞって書き渡していたとか。こんな微笑ましいエピソードも、父から娘へと伝わっていく。

焼く、曲げる、塗る、を職人が手作業で行う生姜せんべいや、中国地方屈指の明治建築として知られる仁風閣。また、湖山池や鳥取砂丘の自然美の保存など、吉田璋也が守り残そうとしたのは工芸品にとどまらない。璋也の思い、民芸の心を、ものづくり=手しごとの精神と直結した“暮らし”でつなぐ鳥取旅に、出かけてみてほしい。
 
PAPERSKY ツール・ド・ニッポン in 鳥取(2014.10.4-5開催)
http://www.papersky.jp/tour/tottori/

PAPERSKY Tour de Nippon in 鳥取 Movie
https://youtu.be/QqsNh2nraZU

» PAPERSKY #45 Colorado | Bouldering & Hot Springs Issue

Tags: , ,









鳥取の手仕事と食を楽しむイベント「co-tori 2018」開催

東京で出逢う“小さな鳥取”。鳥取の手仕事に触れ、食を楽しむイベント「co-tori」が、東京・中目黒… »STORY

WORKING FISHERMAN vol.6 鳥取県漁業協同組合 眞田美幸さん

ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンは、1877年、商船隊の隊長だったヘリー・J・ハン… »STORY

鳥取の手仕事と食を楽しむイベント「co-tori 2017」開催

鳥取の手仕事と旬の食材を東京・中目黒を街歩きしながら楽しむことができる「co-tori」が、2月25… »STORY

かまわぬ浅草店「鳥取づくし -EXHIBITION OF TOTTORI-」

かまわぬ浅草店にて、鳥取の旅で出会った品々を一堂に集めた「鳥取づくし -EXHIBITION OF … »STORY

因州中井窯の染分三色皿|CRAFTSMAN SERIES 日本のつくり手 第2回

鳥取県東部に位置する鳥取市。美しい山々と清流の流れる田園風景の中に、因州中井窯三代目の坂本章の窯を訪… »STORY

鳥取の食と手仕事を中目黒で楽しむイベント「co-tori」

鳥取の手仕事と旬の食材を東京・中目黒を街歩きしながら楽しむことができるイベントとして、2013年にス… »STORY

Tour de Nippon in TOTTORI Movie

2014年10月に開催したTour de Nippon in 鳥取のレポートムービーができました。数… »STORY

山あいの里へ、豊かな自然と食、手しごとをめぐる

数日前から天気予報とにらめっこして迎えた10月5日当日は、降水確率100%。台風の到来もあって、ほぼ… »STORY

PAPERSKY BICYCLE MAP vol.9 鳥取 TOTTORI

今週末、10/4-5に開催される「Tour de Nippon in 鳥取」。PAPERSKYが提案… »STORY

鳥取の手仕事を地図でめぐる「トリベル」開催

手仕事溢れる鳥取県を感じることができるイベント「トリベル」が、鳥取で9月下旬からスタートします。ユニ… »STORY

Tour de Nippon in Tottori 参加募集スタート

“民芸のトットリ”として知られるようになった山陰・鳥取を舞台に、豊かな自然とこの土地の風土が育んだ、… »STORY

鳥取台北 – Design and Craft Hunting –

鳥取・台北の 2つの地をめぐりながらみつけた、工芸品、おいしい食材、その背景にある暮らしを展示す… »STORY

Tour de Nippon in Shimane Tottori 2012 Movie

2012年9月に開催したTour de Nippon in 島根・鳥取のレポートムービーです。島根県… »STORY

鳥取の手仕事と食を楽しむイベント「co-tori」開催

自然に恵まれた風土を象徴する鳥取の手仕事と旬の食材を、東京・中目黒を街歩きしながら楽しむことがて… »STORY

植田正治生誕100周年記念「うえだ好き」 写真展

日本が世界に誇る写真家・植田正治の生誕100周年を記念した「うえだ好き」写真展が、植田正治写真美術館… »STORY

TOTTORI

小さな鳥取と出会えるイベント「co-tori コトリ」

昨年9月に、PAPERSKY ツール・ド・ニッポンの舞台となった「鳥取」が、2/17より開催される器… »STORY

Tour de NIPPON in Shimane, Tottori 2012

2012年9月に鳥取、島根で開催されたTour de Nippon in Shimane, Tott… »STORY

ツール・ド・シマネ / トットリの旅へ

9月8日(土)と9日(日)の2日間は、山陰の旅へ、ツール・ド・シマネ / トットリの旅へ、ご一緒しま… »STORY

トットリノナツ、鳥取の窯元をめぐる旅

「山陰は近くて遠い日本の辺境」なんて言ったら山陰の方々に怒られてしまうかもしれませんが、なかなか出か… »STORY

place
鳥取

© 2008-2019 Knee High Media. All Rights Reserved.