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食卓に音楽をもたらすサルデーニャの国民食、パーネ、カラザウ

カルタ・ダ・ムジカ=音楽の紙。食べるときにパリパリと小気味いい音を立てることから、そんな詩的な別名ももつ羊飼いの保存食が、すなわちパーネ・カラザウだ。発酵して膨らんだ生地を2枚に引き剥がし、それぞれを焼き重ねることで、究 […]

07/22/2014

カルタ・ダ・ムジカ=音楽の紙。食べるときにパリパリと小気味いい音を立てることから、そんな詩的な別名ももつ羊飼いの保存食が、すなわちパーネ・カラザウだ。発酵して膨らんだ生地を2枚に引き剥がし、それぞれを焼き重ねることで、究極に薄いパンができる。水分が飛んでいるため保存が利き、薄く軽いので持ち運びもしやすいことから元来は羊飼いの携行食であったが、いまでは誰もが食べるいわゆる国民食。旅の間、どんな店でも、誰の家でも、食事のたびにかならずテーブルにそれはあった。そのままでももちろん、細かくしてサラダにふりかけたり、メインの料理に敷いて味をしみこませたり、とにかくサルデーニャにいるかぎりはパーネ・カラザウにお目にかからないほうが難しいだろう。
マモイアーダのメーレ家では週3日、朝3時から夕方5時まで、いまでも伝統的な製法でパーネ・カラザウを手づくりしている。窯に入れるとすぐにプクーッとおもしろいように生地が膨らむので素早く取りだし生地を分けていく。時間が経っても変わらずおいしいパーネ・カラザウだが、パリパリになる前の、パンの食感を残した焼きたてもまた、そのときにしか食べられないぜいたくな香ばしさだった。
その口を潤すのはもちろんワインで。Giuseppe Sedilesuのワインは、ラベルにはマモイアーダのシンボル、マムトネスのマスクを冠し、伝統的な舞踏バッル・トゥンドゥを商品名にするなど、地元らしさを前面に押しだしている。おもなブドウ品種はサルデーニャが誇るカンノナウで地中海でもっとも歴史があり、なんと3,000年以上前から飲まれているそうだから、人間の飽くなき嗜好についてはつくづく考えさせられるというものだ。
 
» PAPERSKY #44 Sardegna | FOOD Issue (no.44)