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サルデニアン・ナイフ|暮らしに生きるサルデーニャの手仕事(3)

サルデーニャでつくられたというだけで、ある種のオーラをまとう。それくらい、サルデニアン・ナイフにはブランドバリューがある。もともとこの島には炭坑が多く、刃の素材が豊富に採れたこと。そしてなんといっても羊飼いにとって必需品 […]

07/16/2014

サルデーニャでつくられたというだけで、ある種のオーラをまとう。それくらい、サルデニアン・ナイフにはブランドバリューがある。もともとこの島には炭坑が多く、刃の素材が豊富に採れたこと。そしてなんといっても羊飼いにとって必需品だったことから、サルデーニャでナイフは盛んにつくられてきた。羊飼いが携帯する道具だから、軽量で強靭。そして、なるべく苦しませることなく羊を絶命させられるよう、刃は非常に鋭い。ナイフを入れるポケットを傷つけないように角がないスムーズな形状なのも特徴だ。品格と美しさを兼ね備えたこのサルデニアン・ナイフ、職人になりたがる人は比較的いるそうだが、高度な技術が必要なため、諦める人もまた多いのだとか。
パオロ・ピンナさんはヌオロ出身、サルデーニャでもっとも腕がいいと評判の職人。彼のつくるナイフはたいへんな人気で、遠方からも買いつけにくる。つくれる数は1日に1本、現在は受注生産のみを請け負っている。刃を叩いてパーツをつなげ、ほぼ完成形に近い段階で作業を覗かせてもらったが、微調整に次ぐ微調整で、微細な妥協も許さない職人魂がうかがわれた。
画竜点睛。柄の接合部に模様を刻みつけ、ついにできあがった。1本仕上げたので、今日の仕事は終了である。誘われるままに、工房向かいの建物の半地下へ。そこはパオロさんの自家製ワインの蔵であった。そもそも工房見学の間中、ワインをふるまわれつづけていたはずなのだが、あらためて乾杯。やっぱりサルデーニャには「サルーテ!」が欠かせない。
Paolo Pinna
TEL: 03496 176993
» PAPERSKY #44 Sardegna | FOOD Issue (no.44)