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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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青みがかった石の削りくず|Sekizai|真鶴石材 1

, 2014/05/30

今から15万年前、火山活動により誕生した箱根一帯の山々。その山のなかから採掘される細かい斑点と青みがかった独特の色合いの石は、墓石をはじめ庭石や置物の素材として、日本で古くから親しまれてきた石材だ。その石の名は、小松石。神奈川県南西部にある、真鶴町で採石されている。

石はこの世のものとは思えないような、劣化しない素材である。古代の人々は知っていたのだろうか―自分たちが石でつくった矢じりや刀剣、槌が5万年後も存在していることを。そして大地の上に、街や道路が築かれるようになることを。石は地球上で最古の物質である。人間はそれを磨いて墓の上に置くことにより、死者とつながろうとした。日本には、ほかのどの石よりも貴重な石がある。それが小松石だ。東京の南西に位置する真鶴半島の小松山から採掘される石である。

竹林勇は右手で小松石の一片を持ちあげ、もう一方の手を喉にあてて電動式人工喉頭の振動音を使って話しはじめた。「ここでしか採れない石です」竹林はそう言って、磨かれた灰色の石を前後に動かし、光をあててみせる。「細かい斑点があるでしょう。もっとも等級が高いのは青みがかった石です。赤みがかった石がほとんどなのですが」。竹林は2013年9月まで、真鶴にある竹林石材店の社長を務めていたが、現在は息子の智大が社長となり、店を切り盛りしている。

薄暗い作業場のなかには石の角材が所狭しと並び、奥にはふたりの職人が電動工具で石を削っていた。「昔は防塵マスクがなかったので、私たちは石の加工作業中に大量の粉塵を吸いこんでいました」と、竹林は電動式人工喉頭を使って語る。喉頭に悪性腫瘍ができたため、その部分を切除した。発癌性のある結晶質シリカを大量に吸いこんだのが原因だ。いま作業場の奥で働いている職人はマスクをしたうえで、作業中は石の上に水を流しっぱなしにして舞い上がる粉塵の量を最小限に抑えている。

昔にくらべ労働環境は改善されているものの、真鶴の石材加工業者は史上最も厳しい時代のひとつを迎えている。「いまは、これまででもっとも厳しい状況です」と竹林の息子、智大が言う。「使用される石材のほとんどが、安価な輸入品になっています」。中国から入ってくる石材の価格は、真鶴の小松山から切りだされる同様の大きさの石の半額ほどだ。竹林に言わせれば、石の価値は「密度と加工のしやすさ」にあるという。近代以前の日本で小松石の人気が高かったのは、このふたつの特性を備えていたからである。当時は石の加工を手でおこなっていたため、ひびが入ったり、割れたりしないように作業するのは至難の業だった。ところが電力工具の時代に入り、その価値が減ってきている。しかし竹林によると、小松石の価値はもっと内面的な部分にあるという。「小松石には私たちの文化が宿っています。この石は日本そのものなのです」と竹林は言う。その言葉は、喉に押しつけた小さな電動式人工喉頭から、電動音として響いてきた。

竹林石材店
神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴407-1
www.paw.hi-ho.ne.jp/m-takebayashi

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