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ヨセミテの渓流を楽しむサイクリング

エルキャピタン、ハーフドーム、ヨセミテ滝など、この地の代表的な景勝地を一度に俯瞰できる「トンネルビュー」は、ヨセミテのもっとも有名な観光スポット。その美しさはまさに折り紙つきだけれど、眼下に望む渓谷内のさまざまな位置から […]

04/15/2014

エルキャピタン、ハーフドーム、ヨセミテ滝など、この地の代表的な景勝地を一度に俯瞰できる「トンネルビュー」は、ヨセミテのもっとも有名な観光スポット。その美しさはまさに折り紙つきだけれど、眼下に望む渓谷内のさまざまな位置からこの大自然を眺めてみれば、さらに多彩で繊細な表情が目近に見えてくる。東西に大きく広がる渓谷内を手軽に移動して楽しむのに最適なのが、約20kmにおよぶ自転車専用道路を走るサイクリングツアーだ。渓谷のなかは比較的平坦なので、ヨセミテロッジなどでバイクを借りて、林のなかを風を切って自由に走り抜けられる。渓谷の中央をうねるように流れるマーセド川岸沿いを疾走した後、目指すは東端のミラーレイク。文字通り湖面が鏡のように周囲の景色を映し出す絶景で知られる湖だ。
サイクリングロードを戻れば「ヨセミテビレッジ」へいたる。ここはビジターセンターをはじめ、レストランや食料品店から郵便局や診療所までが集まる小さな街となっている。西端には渓谷の最初の定住者だった先住民たちの歴史や文化について展示しているミュージアムがある。その館内で腰かけ、黙々と籠を編むジュリア・パーカーさんは、81歳。長い間、ここで籠編みの実演をしながら、自分たち先住民の文化を来訪者に語り伝えているという。彼女たちが生活のなかでつくり続けてきた籠の材料はシダやセージなどの根を割いて極細の糸状にしたもので、その工程は驚くほど緻密なもの。ヨセミテの自然の恵みから糧を得て、周囲の環境に調和しながら生き抜いてきた先住民の文化を知れば、眼前に広がる風景がさらに奥行きをもって見えてくるだろう。サイクリングツアーは、ヨセミテの相貌をさらに新鮮なものにしてくれる旅なのだ。
This story originally appeared in Papersky No. 32.
Text: Kosuke Ide