Menu Links
  • Photography: Tetsuya Yamamoto

ジョン・レノンも敬愛した、禅師の教えに触れる|東海道4

, 2014/03/26

一行は沼津市に入り、江戸から数えて13番目の宿、原を目指す。ここには臨済宗中興の祖、白隠禅師ゆかりの松蔭寺という寺がある。臨済宗の最大宗派、京都妙心寺派の首座となりながら名利を離れ、故郷の松蔭寺に戻った白隠は名僧として天下に知られ、参勤交代で東海道を通る大名らの訪問を受けることも多かった。白隠を慕う修行者は多く、多いときには700人がその説法を聞いたというが、来た者には食平等で接し、少ない禄でやりくりしたため貧乏暮らしだったという。

「白隠さんは、訪れる大名から立派なお寺の住職に招かれたこともあったと思います。でも自分はここに残って、弟子を行かせてね。人間、最後は名誉欲との戦いです。白隠さんはそれを貫かれた。その姿を見た弟子たちはやがて14 ある臨済宗本山の住職になり、いまでは臨済宗の法脈はすべて白隠さんに遡る。パソコンのソフトが全部、白隠さんって言えばわかる? その教えを伝えるのが、わたしの務めです」。つまり自分は駅伝の走者みたいなもの、と笑いながら住職の宮本国明さんが白隠禅師の座像へ案内してくれる。すべてを見透かすような座像の目に射抜かれ、一行はそろって頭を垂れる。

寺の近くにある「白隠正宗」という美酒の蔵元、高嶋酒造では白隠がユングに影響を与えた話を聞いた。ジョン・レノンもマイルス・デイヴィスも、自室には白隠の禅画を掲げていたという。後日、サリンジャーの短編集を開くと扉に「両手の鳴る音は知る。片手の鳴る音はいかに?」の文字。なんとこれは白隠の「隻手の音声」という禅の公案だ。「もしや白隠の教えを知らないのは自分だけ?と焦る。寺を辞去する際、「勉強します」と言うと住職は「深いよ」とおっしゃった。いったい、どれだけ深いのか。それはこれから知るだろう。
 
This story originally appeared in PAPERSKY’s Edo Tokaido Road Issue (no.36)

Tags:









関所も怖い、天下の険(東海道③ 箱根 → 三島)

小田原を抜けると天下の険、箱根八里の山越えが待っている。箱根宿は東海道五十三次のなかで最も高い場所に… »STORY

ういろうの元祖は、小田原にあり|東海道② 小田原→平塚

横浜市を横断し、平塚を過ぎて大磯に入ると、潮の香りが漂ってくる。西行法師も訪れて歌を詠んだという鴫立… »STORY

芭蕉も泊まった旅籠で、江戸情緒に浸る(御油〜岡崎)

現在の愛知県豊川市にあたる御油の宿場は、姫街道が再び東海道に合流する地点。御油と次の赤坂は、江戸時代… »STORY

由比で江戸のポップアートを学ぶ(蒲原〜興津)

原から吉原を経て、静岡市の蒲原へ。広重の『東海道五十三次』で蒲原は雪景色として描かれるが、この地の気… »STORY

旅のご褒美は、宿場ごとの美味いもの(府中〜藤枝)

江戸から19 番目の宿場、府中は現在の静岡市。ここは徳川家康のお膝元で、『東海道中膝栗毛』の著者、十… »STORY

江戸の老舗をめぐって、多摩川越え(日本橋〜川崎)

PAPERSKY版・東海道中のスタート地点は、日本橋。お江戸日本橋から目指す京の三条大橋までは、全長… »STORY

旅の絵から読む、江戸の文化史

旅という新しい娯楽が日本で生まれたのは、江戸時代のこと。それと連動するように、当時、美術の世界でも旅… »STORY

すべての時間に続く道 | 日本の旅のルーツ、東海道(No.36)

いまから約400年前の江戸時代、多くの旅人が行き交う、世界でもっとも安全で、クリーンな街道があった。… »STORY

keen

東海道を歩くための理想的なシューズ|KEEN

東海道の旅でルーカスが履いているKeenのシューズは、街道を歩くための理想的なパートナー。なぜなら東… »STORY

TOKAIDO

東海道の旅のパートナー、現代の旅人・ルーカス B.B.

「いまって、昔の人の考えかたとか、過去のものを一回ゆっくりと見直してみるべき時代なんじゃないかと思う… »STORY

TOKAIDO

PAPERSKY No.36 東海道を歩く旅 発売

“この歴史的な街道にはいまなお当時のにぎわいを感じられる街並みが残り、タイムトリップでもしているかの… »STORY

name
松蔭寺
place
静岡県
address
静岡県沼津市原128
phone
055-966-0011

© 2008-2018 Knee High Media. All Rights Reserved.