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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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身を守りながら 正確な軍配を挙げる|木村庄之助 Sumo (3)

, 2014/02/10

「私は木村庄之助と申します。本名は畠山三郎ですが…」取り組み中に土俵への立ち入りが許されている唯一の人間として、取組を仕切り、勝敗を判定し、勝ち名乗りを上げる。木村の仕事は行司。神主と相撲のレフリーの間の役割を、 複雑で儀式的なやりかたで果たす仕事である。

私たちは畳敷きの大広間で、木村こと畠山に話を聞いた。厳格な雰囲気をもち、簡潔な口調で話し、相好を崩すことがない彼は、公平な審判である。手の込んだ柄物の紫の直垂、烏帽子、軍配を身に着け、短刀を腰に差す。短刀は、差し違えたら(勝敗の判定を誤ったら)切腹するためのものだ。(現代では実際に腹を切ることはなく、それほどの覚悟で挑んでいることを示す象徴となっている)。

日本のほかの伝統芸は、実際に仕事をするまでに数年から数十年の経験を積む必要があるが、畠山の場合、この世界に入ってまもなく現場に立っていたという。「実際にやってみて、経験から学ぶことが大切です」。

国技館で11,000人の観客の前に立つには気持ちを落ち着けなければならず、それには経験が必要である。取組前、畠山は、ただ「心を空にする」という。ぶつかりあうふたつの巨漢とともに土俵に立つためには、大変な集中力が必要だ。倒れた力士に跳ね飛ばされて土俵の下に落ち、脳震盪を起こして気を失ったこともある。
「あのときは別の行司が勝敗を判定するしかなかったですねぇ」、そう言ってから「それと塩が目に入らないように注意する必要もあります」と加えた。取組前に力士がまく清めの塩の勢いがよすぎることもあるという。そして最も難しいのは、自分の身を守りながら土俵を動きまわり、正確な軍配を挙げることだ。

大相撲ではあらゆる面が中の世界と外の世界に分かれている。大相撲の場所を運営し、従業員(行司も含む)を管理する日本相撲協会は、閉ざされた部分もあるため、角界には神秘的で謎めいた雰囲気がつきまとう。さらに多くの人々の心配の種は、外国人力士の存在である。

外国人力士が活躍する一方で、力士を志願する日本人の数が減っているという。「大相撲が子どもにとって魅力的ではないのか。それとも裸に近い身体で人前に立つことが恥ずかしいのか…」と畠山は訝しがる。問題は、相撲が伝統に根ざした部分を失わず、現代っ子の心をつかむにはどうすればよいか、ということだ。「学校に土俵をつくる必要があるかもしれないですね」と畠山は言う。「私は子どものころから相撲が好きでたまらないんですよ。だから誰よりも近くで取組が見られるこの仕事が本当に好きなのです」。
 
木村庄之助(畠山三郎)
1950年、青森県生まれ
2013年11月場所より木村庄之助襲名
取材時(2013年6月)は、39代武守伊之助
 
This story originally appeared in PAPERSKY’s ARGENTINA | ART Issue (no.43)
Photography & Text: Cameron Allan Mckean Coordination: Lucas Badtke-Berkow

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