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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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昔の編みかたを合わせて編む|別府の竹細工 3

, 2013/10/30

「私が初めて竹に触れたのは、竹林から自分のおもちゃを切りだしたときでした」と大橋重臣は言う。今年で39歳になる大橋は、別府を代表する若手の竹工芸職人のひとりであり、竹の魅力に惹かれ別府へ移住し、別府の竹工芸に活力を吹きこむ人物である。「私は実家が竹関係ではないし、別府出身でもありません」。そう語る彼や彼と似た背景をもつ人々は、日本で唯一の竹工芸の学校で籠の編みかたを学ぶためにここに来る。「この学校に入学する人はたくさんいますが、籠を編むだけでは生活できません。ここで学んだ技術をどう活用できるかを考えることが大切です。私はいつも籠を編みながら、竹の新しい使いかたを考えています」。けれども、彼が生きがいを感じ、愛しているのは籠を編むことである。「昔からずっと使われている籠の形がとにかく好きだし、他の伝統工芸と違って、多数の人の手を必要とせず、すべての作業をひとりでできることも魅力です」と大橋は語る。

とはいえ、この自由を勝ち取ることは容易ではない。大橋の場合、編みの材料となる竹ひごのつくりかたを習得するまでには5年かかったという。毎日、竹割り包丁で竹を割り、小刀で削りひごづくりの練習をした。「ひごの寸法は手の感覚で覚えないと…」工房で実際の作業を見せながら、彼は言う。竹工芸職人なら誰もがひごづくりの技術を知っている。

だが、いまの世の中で見過ごされがちなのは、日本人の日常生活における竹の価値を再び認識させることの難しさだ。竹を大切にする感性が失われつつある。もともと別府では、竹の籠は農家でつくられていた。その後、温泉が有名になると、籠が旅館で使われるようになり、おみやげとして買われていったという。大橋にとって竹籠は、日常生活のなかで使うことが重要である。使うことでどの部分が壊れるかがよくわかるし、編みかたを改善しやすくなるという。「蚤の市で見つけた昔の竹工芸からも、改善のためのアイデアをもらいます」。そう言って戸棚に手を伸ばし、古い籠をいくつか取りだした。どれもささくれが出てしみもあるが、まだ充分に使えるものだ。「これは蚤の市で安く売られていましたが、人間国宝の工房で作られた竹の道具です。30年前くらいにつくられたものじゃないかな。不思議なのは、いまでは誰もこういう編みかたができないことです」。日本の竹細工の中心地で、このような技術が消えようとしている。そんな事実を知り、ショックを受けた。けれど大橋は静かに、すべてを受け入れたような調子でこう続けた。「必要とされる伝統や形は残るのです」。
 
This story originally appeared in PAPERSKY’s NEW ZEALAND | LONG Issue (no.41)

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