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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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ねぶたを盛り上げる100人の囃子|青森ねぶた 2

, 2013/09/17

ねぶたの初日である8月2日の夕暮れどき。先頭のねぶたが来る前に、耳に飛びこんでくるのは囃子の音色だ。ねぶたの前方には、鮮やかな衣装と花傘を身にまとった跳人が、太鼓、笛、鐘の音に合わせてかけ声をかけながら踊っている。祭りの主役はねぶたかもしれない。だが、熱狂と興奮が渦巻く祭りの雰囲気をつくるのは、各ねぶたの後方を陣取る100人ほどの囃子方である。「ねぶたの味わいの多くを担っているのが囃子方です」と木村が教えてくれた。木村は23年間、囃子方を務める青森っ子である。担当は笛と太鼓。彼の団体には全部で60人の囃子方がいるという。20年の経験といえばかなりの熟練者のように思えるが、木村は非常に謙虚である。「囃子方としては、私などまだひよっこです」。そう言いながら、毎週練習している会場に案内してくれた。

その会場は青森ねぶたの文化を紹介する新しい博物館「ねぶたの家ワ・ラッセ」である。青森の街全体が雪に埋もれる冬の間も、さまざまな囃子方の団体が市内のあちこちからここに集まって練習に励む。ねぶた囃子の団体の一員になることは大きな誇りである。団体にはそれぞれの演奏スタイルがあり、伝統的な演奏に多少のアレンジを加えた独自の演奏をもつ。この囃子はこの団体のもの、というのが地元では認知されるようになっている。「いろいろな囃子の団体に参加してきましたが、ここ10年は龍鼓会(消防第二分団ねぶた会・アサヒビール)にいます」。

木村はこれ以外に、ねぶた祭りの今後の展開という大きな問題にも関心を寄せている。「昔は企業ではなく、地域でねぶたをつくり、村を練り歩く祭りでした」。木村の表情が明るく輝く。ねぶたを心から愛するがゆえだ。「このごろは観光客を意識して、すべてが組織化されるようになっています。もっと地元の人に楽しんでもらいたい。伝統を守りつつ、もっと創造性とオリジナリティあふれる祭りにしたいのです」。人間は過去を美化して「昔はよかった」と言いがちだ。しかしねぶた祭りの現状について木村が呈した苦言は、失われし日々に対する郷愁だけではないようだ。ねぶたと青森のアイデンティティは固く結びついている。祭りに参加する青森市民は、ねぶた祭りが昔もっていた圧倒的な情熱が減りつつあると心配している。ねぶたとともに生き、ねぶたの息吹を感じながら暮らしている人たちが、自分たちのための祭りを謳歌していたころに戻れるよう、観光資源としての「祭り」と青森市民のための「ねぶた」の共存をどんな形にしていくべきか。「うちのグループはいつも最高に盛りあがりますね。みんな、ねぶた馬鹿ですから。演奏しているときは、みんなの顔にねぶたのエネルギーがみなぎっています」。

 
木村智志
囃子方。1963年、青森市生まれ。青森ねぶたの囃子方として、国内外でも演奏をする。

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