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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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家ほどの大きさをした斧を持つ鬼|青森ねぶた 1

, 2013/08/30

青森は夏の盛りを迎えた。最後の残雪が融けさり、高らかなかけ声や太鼓の響き、笛の音色、鐘を打ち鳴らす音があたりに広がる。ねぶた祭りの季節だ。8月2日から7日までは毎晩、すべての大通りの沿道に数百万もの観客がぎっしりと並ぶ。音と色彩に満ちた光の喧噪のなか、ねぶたが通る姿を見にきた人々である。この光の渦は青森の人々の一年間の労働と努力の結晶である。  

針金を複雑に組んだ骨組みに和紙を貼り、上に鮮やかな色を塗り、内部におよそ1,500個前後の電球を入れて照らす。そうやってできあがるのが巨大な武器をふりかざす武者や鬼、神話に登場する獣、 歴史上の人物だ。いずれも恐ろしい表情で、あたりを睨みつけている。「鬼や怖い顔が多いのは、魔を払うという意味が込められています」と竹浪はいう。竹浪は青森のねぶた師(ねぶたの制作を請け負う職人のこと)13人のうちのひとりである。「邪気払いこそ、ねぶた祭りの起源を表すものです」。ねぶたの起源については諸説あるが、竹浪は七夕が変化したものだと考えている。一部の地域では昔、七夕は魔を象った人形を燃やし、川から海へと流す行事だった。「はじめは小さかった人形が、だんだん大きくなりました」、竹浪が私たちを工房に案内しながら言う。

工房では数人の職人が針金の枠組みをつくっていた。まだなんの形かわからない状態である。ねぶたは複雑な形の立体だが、図面はねぶた師による下絵のみ。竹浪は私たちに下絵を見せてくれた。骨組みがどのような仕上がりになるのかを示す唯一の見本である。描かれていたのは恐ろしい表情をしたふたりの武者。ふたりのまわりを、さまざまな色のうねりと10本ほどの刀が囲んでいる。「初めてねぶたを見たのは4歳のころでしたね。あれは昭和38年でした。それ以来、毎年ねぶた祭りに通うようになりました。当時、鉄腕アトムが子どもに人気でしたが、私はアトムに興味がなくて、ねぶた一筋でした」。

ねぶた師になりたいという夢をひそかに抱きながらも竹浪は大学に進学し、薬剤師になる。そして、平日の夜と休日だけ、ねぶたの作業をした。「とにかくでっかいやつをつくりたい。ずっとそのことだけを夢見てきました」。そして1988年、29歳のときにそのチャンスが訪れる。その6年後にフルタイムで働いていた薬剤師の仕事を辞め、ねぶた制作にすべてを注ぎこむようになった。今年は3つのねぶたを同時に制作しており、祭りに間に合わせるために寝ずに作業を進めている。「大変なこともありますが、150歳になるまでねぶたをつくりつづけたいですね。ねぶたがつくれなくなったら、生きている意味がなくなります」。竹浪は私たちに、さらりとそう言った。

 
竹浪比呂央
ねぶた師。1959年、西津軽郡木造町(現 つがる市)生まれ
www.geocities.jp/hiroonebutaken

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