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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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父から娘へ受け継がれる伝統|青森ねぶた

, 2013/08/14

北村隆は青森市郊外にある自宅の一室を作業場にしている。だが、その庭はふつうとはほど遠い。途中まで仕上がった針金の枠組みがいくつも積みあがっている。目を凝らせば、ここに手があって半分できあがった刀とからみあっているとか、これはたぶん鬼の顔だろうとかいったことが見えてくるかもしれない。これら仮組みされたねぶたのパーツは、5月上旬からねぶた小屋「ラッセランド」へ運びこまれ、本格的な制作が始まる。ねぶたづくりは難しく、根気のいる作業である。祭りが終わったら、すぐに次のねぶたの制作に取りかからねばならない。北村は青森に生まれ、幼少期からねぶた制作に携わり、30歳からねぶた師を職業とするようになった。「ねぶた師としてねぶたづくりを専業に働くようになったのは最近のことです」。リビングルームのソファに座った北村が話す。65歳の彼は、青森で最年長のねぶた師だ。この道に入ってから、90台以上のねぶたをつくってきた。1台のねぶたの総運行費は約2,000万円、ねぶた師への報酬は約500万円ほどといわれる。日本には、これ以上多額の制作費がかかる伝統工芸品や祭りはない。「その大半を材料費と人件費(電気関係・紙貼りなど)に費やします」と北村は言う。

ねぶたは伝統的に、仏教や神道とは無関係だが、現在は企業との結びつきが強いのが特徴である。企業が各ねぶたのスポンサーとなり、制作費を負担する。この慣行は終戦後、青森の観光業振興のために始まった。その結果、ねぶた祭りは莫大な資金をかけて見栄えを競う祭典となり、伝統的な祭りのなかのF1レース的存在になっていく。このような環境でプロのねぶた師として生き残るためには、北村のように年間3台のねぶたを制作する必要がある。「スポンサーが少ない年は厳しいですよ。数社ついてくれれば、いくつかアイデアを練って、下絵をたくさん出せます。そういう年は最高ですね」 。彼にとって最高の年は2012年だった。娘の麻子が突然、ねぶた師になると言いだしたからである。これには青森中が驚いた。そしてスポンサーを得て、北村の娘がねぶた史上初めて、女性としてねぶたの制作を仕切ることになったのである。ねぶたの歴史は幾多もの変化や適応を経ながら続いている。「私は自分がつくれる最高の、伝統的なスタイルのねぶたをつくりたいのです」。麻子が、リビングルームにやってきて言う。「それに私は女ですから、ほかのねぶた師とは事情が違います。もし子どもをもつことになれば働きかたも変わりますし、ねぶたづくりのスタイルもがらりと変えなければならないでしょう」。

北村隆
ねぶた師。1948年、青森市生まれ。第六代ねぶた名人。
www.nebutakitamura.com

» PAPERSKY’s BARCELONA | SWIM Issue (no.42)

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