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  • Photography: Alewxander Benjaminsen
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北欧ノルウェーのクリエイターライフ | タニヤ・セーテル

, 2013/08/09

「フリルフスリフ」とは、ノルウェー語で「ありのままの自然のなかでの暮らし」という意味をもつ。美しくも厳しい自然のなかで、じつに豊かに暮らすノルウェーの人々のライフスタイルを表現する言葉だ。そんな暮らしを覗きに、ノルウェー発祥のアウトドアブランド、ヘリーハンセンと、ノルウェーのクリエイターを訪ねる旅へ。第1回目は、ガラス作家として国内外で活躍するタニヤ・セーテルさん。現在、オスロの郊外で暮らすタニヤを訪ねた。

ノルウェーの首都、オスロの市街地から車で走ること20分、豊かな自然が広がるその土地に、タニヤの自宅兼アトリエはある。昨年、出産し、一児の母となったタニヤは、家族との暮らしをより充実させるため、オスロの郊外に引っ越した。
「ここTrolltunは、1959年につくられたアーティストのための村。どの家にもスタジオがついていて、当時から多くのアーティストが暮らしている場所です。向かいは、ピカソと親交の深かったアーティストのCarl Nesjarの家。出産後、子育てと作品制作を無理なく両立させるためにこの村に引っ越しました。このあたりは緑が多くて森へのアクセスもいいから」

オスロの郊外にはTrolltunのほかに、エドワード・ムンクが暮らしていた土地に建てられたEkelyというアーティストのための村がある。アーティストが心地よく作品制作に没頭できるよう、1950年代にこうした村がつくられた。当時、貧しくも才能あるアーティストは、作品を家賃代わりに暮らしていたという。

30軒ほどの家が立ち並ぶこの村の裏手には、広大な森が広がっている。トレイルを散策する人、ジョギングをする人、マウンテンバイクを楽しむ子どもたち、そして5分も歩けば美しい湖があり、釣りやカヌーを楽しむ人々の姿もある。誰もが自然を愛し、自然とともにあるささやかな暮らしを、心から満喫しているかのように見える。タニヤもまた、この土地に越すことで「自然とともにある暮らし」を手に入れた。
「ここに来てからは、息子のエリオットと森を散策するのが日課。気候も天気も気分も変わるから、毎日新しい発見がある。つい先日も川のほとりを歩いていたら、ビーバーの巣を見つけて驚きました」

そんなタニヤの一日は、家族のために朝食をつくるところから始まる。この日は1歳4カ月の息子エリオットとふたり、心地よい朝日が差しこむダイニングでなごやかな朝食の時間が始まった。
「家にある食器の一部は、祖父母から譲り受けたもの。このグリーンのプレートは、1950年代につくられた典型的なノルウェーのお皿で、祖父母が愛用していたものです。その他のガラスの器は、学生時代に私が制作したものですが、最近はこういった機能的なものはつくらないから少し新鮮。新しいものでも古いものでも、自分たちの暮らしにいかに溶けこませていくかを考えることが楽しい」

幼いころから将来はものをつくる仕事に就きたかったというタニヤは、隣国スウェーデンでガラスを学び、10年ほどストックホルムを拠点にキャリアを積んだ後、故郷ノルウェーに戻ってきた。
「スウェーデンには伝統的なクラフトからモダンなものまで、ガラスに関わる文化がありコミュニティもあります。ガラスに関していえばノルウェーよりもスウェーデンの方が盛んですが、ノルウェーのガラスにはノルウェーらしい魅力がある。デザインはシンプルだけど、実験的でユーモアがあるのが特徴。北欧とひとくくりにされがちですが、ガラスひとつとってみてもそれぞれの土地の風土や文化の違いを感じられます」

ノルウェーでは圧倒的に男性が多いというガラスの世界で、彼女は自分らしい作品を目指す。
「ガラスはコントロールしがたい素材。ある程度の形をつくれるようになるにはそれなりの経験が必要だし、さらにそこから自分のイメージした作品をつくるとなると、本当に難しい。でもそこがガラスの魅力。最終的な仕上がりが見えるようで見えない。少しミステリアスなところがあるから、飽きることがないんです。私の作品はアブストラクトのものが多いから、そのときの気分で制作しているように思われがちですが、アブストラクトなものを制作するためには、より具体的なイメージが必要で、制作前に何枚もドローイングを描いてイメージを固めてから制作に入ります。なかなか思いどおりにはいきませんが、その反面、思いがけずいい仕上がりになることもある」

ガラス制作は子育てとどこか共通するものがあるというタニヤ。どちらも思いどおりにならないから楽しい、と笑う彼女は、母となったいま、より充実した暮らしを求めて、新たな挑戦を始めている。
「子どもができて、自然にふれる時間のありがたみをあらためて感じています。自然のなかで過ごす時間は子育てと仕事の潤滑油のようなもの。だから息子の成長に合わせて積極的に自然のなかで過ごす機会を増やしていきたいですね。毎日の森の散策や庭の菜園での土いじりのほかに、トレッキングやスキーなど、四季折々の遊びにも挑戦したい。そろそろ息子にもヘリーハンセンのウェアが必要になりますね」

子どものころから当たり前のように身につけていたというヘリーハンセンのウェア。これからは息子エリオットと過ごす時間に欠かせない存在となりそうだ。

 
タニヤ・セーテル Tanja Saeter
1975年、オスロ生まれ。スウェーデンの芸術大学(Konstfack)卒業後、ストックホルムを拠点に世界のガラスシーンを訪ね、さまざまな手法のガラスアートを学ぶ。世界各地で作品を発表し、2010年には21_21 DESIGN SIGHTで開催された『POST FOSSIL』に参加。2011年にはヴェネツィアビエンナーレにも出展している。www.tanjasaeter.com

 
※ タニヤ・セーテルさんの世界にふれる展覧会を、ヘリーハンセン原宿店で開催します。ドローイングからガラス作品になるまで、タニヤがガラス作品を制作するプロセスとその美しい作品を写真展示で紹介します。ノルウェーで生まれ育ち、自然とともにある暮らしのなかから生まれた、タニヤの美しいガラスの世界。本展をとおして、北欧ノルウェーの「フリルフスリフ」のライフスタイルにふれてみてください。

Norwegian Culture Journey Exhibition 001
ガラス作家 タニヤ・セーテル Tanja Saeter
期間 2013年8月10日(土)~9月10日(火)
場所 HELLY HANSEN 原宿店
東京都渋谷区神宮前5-27-8 TEL: 03-6418-9669
11:00~20:00(無休)
http://www.goldwin.co.jp/hellyhansen/

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