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  • Photography: Cameron Allan Mckean
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遺伝子に刻まれたもの|別府の竹細工 1

, 2013/05/15

大分全域に分布する竹林は、日本全国の竹林の約6割を占める。そこから切りだした背の高いマダケが別府竹細工の材料である。何百年も前からこの竹を使って、細かく精密な手法で籠が編まれてきた。昔は農家の副業だったが、編みかたが複雑になりすぎて、専業の竹工芸職人が開発した編みかたには伝承できずに消えてしまったものもある。

遺伝子に刻まれたもの|岩尾一郎

人類は1万年以上も前から籠を編んできた。ほぼすべての古代文明に籠を編む技術があったが、大昔に編まれた籠はひとつも残っていない。籠に使われた草、葦、藤のツル、竹といった弾力のある素材は、すべて、枯れたり腐ったりして消えてしまうからだ。だが、一部が粘土層や化石のなかに刻みこまれて残っている。日本の籠細工の技術がそうした過去とどうつながっているのか、籠を編むだけの技術をどのように芸術の域にまで高めたのか、またこうした伝統がなぜ消えつつあるのか…。これらの答えを知るべく、日本の竹工芸を代表する地、別府を訪れた。竹を使って籠を編む伝統的な手法が、この土地ではひとつの産業となり、精巧な技術に発展した。だが、この生産量は減少しつつある。現代の日本の暮らしのなかで、竹で編んだ籠を必要とする人が減っているからだ。

「けれども、日本人はずっと竹の籠に親しんできました。大昔から、日本人の生活になくてはならないものでした」と57歳の竹工芸職人・岩尾一郎は言う。そう語る彼の後ろには、編みあげた竹の籠が何百とある。想像しうるあらゆる形、編みかた、仕上げの籠がずらりと並んでいる。材料は地元の問屋から仕入れているが、20年後には自ら山に入って竹を切ってこなければならないだろう。そう彼は考えている。「竹の伐採をしている人たちが、みんな歳を取りすぎちゃったからね。だからいま、自分で伐採のやりかたを勉強しているんだ」。

およそ500年前は、ほぼすべての日本人は生活のなかで竹籠を使っていた。地元の農家では、調理や食事の下ごしらえのために竹で籠を編み、行商人として地域のあちこちに出向いて籠を売っていた。岩尾の工房の2階からは、近代的な別府の町が一望できる。必要に迫られて竹籠を編んでいた昔の町の姿は、とても想像できない。「うちのじいさんが竹工芸を始めたのはそれほど昔ではない、1920年のことでした。私は今年で30年目です」。

彼は床の上にあぐらをかいてすわり、作業を続けている。その手を止めて、私たちに編みかたを教えてくれた。慎重に竹を曲げながら、まずは底の部分を編んでいく(底編みの仕上がりが最終的な作品の質を決めるという)。底ができたら今度は、丸みのある側面に取りかかる。「いつも不思議に思うんです。どうしてこの丸い容器を竹でつくる必要があるのか、なぜ竹であることが大切なのかって」。その理由は、竹の柔軟性と丸みを美しく出せる弾力にある。けれども彼は、竹には他にも不可欠な材料になるだけの理由があると感じている。だが、それを言葉で説明するのは難しい。「昔の人間は、竹に親しんで暮らしていました」。インタビューの最後に、岩尾はこう語った。「いまの生活のなかに、竹細工はあまりなじみのないものになってしまいました。しかし、地元の子どもたちに竹の話をするときには、きみたちの歴史と竹の歴史はつながっているんだよ、きみたちの遺伝子のなかには竹があるんだよ、と教えています」。
 
This story originally appeared in PAPERSKY’s NEW ZEALAND | LONG Issue (no.41)

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(有)岩尾竹藍
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大分
address
大分県別府市光町1-5
phone
0977-22-4074

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