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必要なものと不必要なものを知り尽くしていたアナング族

飛行機から見たウルルは、まさに地球のへそと呼ぶにふさわしい景観。赤く広がる土にポコンと突きでた巨大な岩。この岩のまわりにはただひたすら、乾燥した平地が広がっていることがよくわかる。このウルルを聖なる存在として位置づけてき […]

11/16/2012

飛行機から見たウルルは、まさに地球のへそと呼ぶにふさわしい景観。赤く広がる土にポコンと突きでた巨大な岩。この岩のまわりにはただひたすら、乾燥した平地が広がっていることがよくわかる。このウルルを聖なる存在として位置づけてきた先住民。つまり彼らはこの、どこまでも乾燥した広大な土地で、食物や水を探しながら暮らしてきたのだ。この近辺で生活を続けてきた部族、アナングのガイド、リタさんは言う。
「部族に伝わる歌に従って行けば水のある場所がわかる。民話や絵にも実際の生活に必要なことがたくさん表現されていて、私たちはそれを受け止めいろいろなストーリーを頭に描くんです」
たとえば火をおこすには、少ない草木とウサギの糞さえあればOK。石の道具で少し圧力をかけるだけで、ウサギの糞が燃料のような役割を果たし、ほどなく煙が立ちあがった。その火のなかにスペニフィクスという植物を入れてあぶればキティと呼ばれるものができる。これは粘着性が高い粘土のような塊で、槍や器など、さまざまな道具の修繕に使えるという。そして、その槍を持って男性は狩りへと出かける。
「重い動物は大勢でないと運べない。だから、女性の助けを呼ぶんです。でも、電話で呼ぶわけにはいかないから、獲物を仕留めた場所で火をおこす。煙をシグナルとして利用して、これを見た女性たちが駆けつけてくれるんですよ」
家族皆がお腹いっぱいになるには、大きな動物が3頭も獲れれば充分。それ以上は必要なかったという彼らは数字を3までしかもっていない。それ以上の数を数えるときは、すべて「ジュタ(たくさん)」で済ますという。正確な年齢の概念もほとんどないという先住民たち。彼らの暮らしぶりを知れば知るほど、人間にとって本当に必要なものはなにかがわかる気がした。
Anangu Tour
☎ 08 8950 3030
www.ananguwaai.com.au
Uluru-Kata Tjuta National Park Cultural Centre
☎ 08 8956 1128
www.environment.gov.au/parks/uluru
This story originally appeared in Papersky No.29.
Photography: Yuri Shibuya Text: Piroshi Utsunomiya
» GOMAさんの奏でるディジュリドゥともに