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世界を旅する大道芸人|FUNNY BONES

トランクから次々といろいろな小道具が飛び出し、マジックやジャグリング、パントマイム、ボイスパーカッションなど見事なパフォーマンスで街角に集まった人たちを楽しませる。大道芸人として活動するファニーボーンズの二人に出会ったの […]

03/10/2011

トランクから次々といろいろな小道具が飛び出し、マジックやジャグリング、パントマイム、ボイスパーカッションなど見事なパフォーマンスで街角に集まった人たちを楽しませる。大道芸人として活動するファニーボーンズの二人に出会ったのは、クライストチャーチで開催されたワールド・バスカーズ・フェスティバルにて。街が大きな被害を受けた2月22日の地震が起こる1ヵ月ほど前のことだ。大聖堂広場やヴィクトリアパーク、ハグレーパークなど、各所に設けられた会場では世界中から集まった大道芸人たちがショウを披露し、街はたくさんの笑い声に包まれていた。
ファニーボーンズは、イギリス人のクリスピークリスと、日本人のけーぼーによるパフォーマーデュオ。とりわけゾンビを象った巨大パペットのパフォーマンスは子どもたちにも大人気だ。舞台に登場する彼らのトランクは、そのまま二人が実際に使っている旅道具。楽しい道具がたくさん詰まったトランクを片手に、世界を旅する大道芸人ならではの旅の仕方を聞いてみた。
 
みんなで笑い合える時間の気持よさ
── お二人は大道芸人として世界各地を旅していますが、これまで訪ねた国で印象深いのは?
クリス(以下・ク):「オーストラリア、台湾、日本、韓国、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、イギリス、スコットランド、オーストリア、イタリア、マカオ、ニュージーランド、タイ、アメリカ・・・どの国もよく覚えているけど、中でも思い出深いのはマカオの空港。その時僕らは急きょブレイクダンスのショウを始めたんだ。じつは空港税を払うためのお金を持っていなくて、そのお金を集めるためにね」
けーぼー(以下・け):「印象深い町はイタリアのペナベリ。宮崎映画に出てくるようなかわいい町並みの中での素敵な時間を体験したから。タイのプーケットでは、ショウの最中に2回も水道管の破裂があって、そこにいたみんなが悲鳴を上げている様子が『もう、笑うしかない!!』と諦めにも近い爽快感が楽しかった」
 
── クライストチャーチのバスカーズ・フェスティバルには、去年・今年と2年連続で参加されていますね。
ク:「ストリートエンターテイメントとしても、世界でもトップクラスのフェスティバルの一つだと思う。10日間ノンストップで朝から晩までショウが行われるし、それに加えて、見に来ている人たちも世界で最も素晴らしい観客だから」
け:「今年ふたたび参加して、ああ~やっぱりみんなで笑い合える時間って気持ちがいいな~とあらためて感じました。それと出会った多くの人々に生かされているんだな~とも感じました。今回の地震で被災された人々の、多くの悲しみ、痛みが一刻も早く癒される事を願っています。ファニーボーンズは、一人でも多くの人を笑わせに、また必ずクライストチャーチへ行きます」
 
芸の道具が詰まった旅のトランク
── 今回のフェスティバルでは、パフォーマンスとトークを組み合わせた芸が多い中、お二人はほとんど言葉を使わず、多くの観客を笑わせていたのが印象的でした。
け:「言葉や文化の違いを一発で飛び越えちゃうような芸人になるためには、言葉より全身で笑わせる事の出来る芸が必要だし、そういう芸はシンプルなのに奥が深い感じがしてドキドキしちゃうんです」
ク:「自然とそういうスタイルになってきたんだけど、僕はショウの中でいつもほとんど喋らないんだ。だって言葉じゃなくて、アクションすること自体が喋ることだと信じてるから」
 
── ショウではいろいろな小道具がトランクから飛び出してきますが、実際に旅するときにはトランクにはどんなものが入っていますか?
け:「旅に必要な物を詰め込めるだけ詰め込んで旅をしています。芸道具以外には… サンダルは必ず持って行きます。ちょっとした買い物等にいいよね。あと箸!」
ク:「僕の場合は昔はトランク一つにぜんぶ詰めていたけど、今はパフォーマンス用のものとそれ以外の持ち物と二つのトランクを持ってる。ダイアリーとスクラップブック、集めた写真、飛行機のチケット、そのほかいろいろ持ち歩いていたけど、今はノートパソコンとカメラだけ。双眼鏡も大好きでいつも持ち歩いてるよ」
 
旅は心を健康にしてくれる
── 今回はフェスティバル期間を含めて約一ヶ月、ニュージーランドに滞在していたそうですね。こんなふうに旅すると楽しいよ、というような、大道芸人ならではの旅の仕方がありますか?
け:「今回はカイコウラという海辺の小さな町を訪ねました。サーフィンをしたり、イルカに会いに行ったり、ホーストレッキングをしたり、ビーチを散歩したり。旅の仕方としては、予定は未定!みたいな旅の方が良いね。だってまた来る楽しみができるしね。ボクたちは旅芸人だからすぐに現地の人達と友達になっちゃうんだけど、友達を作ってみよう!みたいな旅も楽しいかも。でもその時に注意しないといけないのが、文化や宗教観の違いね。だから自分の常識は非常識みたいな感覚がとても大事になると思うよ。時々やらかしてます(笑)」
 
── 次はどんな場所を旅してみたいですか?
け:「笑いを必要としている場所。多くの人々と笑いの時間を共有することが、ファニーボーンズの出来ること、したいことだから」
ク:「大道芸人のための世界大会が開かれている、アイルランドに行ってみたい。まだ行ったことのない国がたくさんあるし、いろんなところに旅に行きたい。旅はストリートエンターテイメントに欠かせないものだし、フリーダムあっての大道芸だと思うから。旅は僕の心を健康にしてくれるし、それを求めることは僕らの運命でもあるんだ」
 
【プロフィール】
FUNNY BONES [ファニーボーンズ]
それぞれソロの大道芸人として活動していたイギリス人のクリスと日本人のけーぼーは、九州を旅する大道芸キャラバンでの出会いをきっかけに意気投合し、2002年にファニーボーンズを結成。奇想天外なショウを繰り広げるインターナショナルなコンビとして、さまざまなフェスティバルやイベントに招待され、国籍、年齢、性別を問わず多くの観客の人気を博している。コンビ名の由来である、「全身で演じ、骨まで笑わせる芸」をモットーに、笑いと驚きのカオスを巻き起こしながら、あらゆるシーンで活躍中。
2011年クライストチャーチ・ワールド・バスカーズ・フェスティバルでは、海外ではじめての受賞となるThe International Critics Choice Awardを受賞した。
今後のスケジュールはこちら。詳細はオフィシャルサイトにて。
2011年3月19日(土)〜20日(日) うつのみや大道芸フェスティバル
2011年4月16日(土)〜17日(日) ヨコハマ大道芸inイセザキ
2011年4月23日(土) Fremantle Street Arts Festival (オーストラリア)
2011年5月10日(火)〜12日(木)(延期となりました) フレザーフーパー+ファニーボーンズのクラウンワークショップ
FUNNY BONES オフィシャルサイト
http://www.funnybones.jp/
 
インタビュー&構成:チームヤムヤム
Interview& text: Team YumYum