Menu Links
  • GREECEPHOTOGRAPHY: PAPERSKY

ギリシアの風景を今日に伝える作家たち

, 2010/07/05

文学がもっとも影響力のあるメディアだった20世紀前半、ギリシアという国のイメージは、作家たちのペンによってヨーロッパ中に広まった。30年代に重要な役割を果たしたのは、コルフ島に一家で移り住んだロレンス・ダレルと、その誘いに乗ってギリシアを訪れたヘンリー・ミラーだった。ミラーは最初、ギリシア行きに乗り気ではなかった。が、いったん足を踏み入れるとその魅力にはまっていき、ついには情熱にあふれた旅行記『マルーシの巨像』を著すことになる。ミラーはこの本の中で書き綴る、いわく「ギリシアはおのれを見つけようと模索している人に欠かせない」「ギリシアはそこにある。誕生した時からそうであったように、裸で完全に自分をさらけだして」

のちにインドやカリフォルニアが内的自己にふれる場として有名になったように、彼らの著作は、ギリシアを現実から逃避し、自己を発見する場として有名にすることになった。ダレルにしても、コルフ島に滞在した時期の日記兼回想録『Prospero’s Cell』で、海に入っていく感覚をこう書いている。「イオニア海の水が1センチほど上がったり下がったりいて、わたしのうなじに戯れていた。まるで世界が鼓動しているようだった。…(中略)… それは意識の、あるいは無意識の心が自らと戯れる世界を超えていた。心の底まで太陽が浸透してきて、考える能力が麻痺したようだった。」 ダレルの著作には、自己発見というある種エゴイスティックな行為ではなく、エコロジー的な自然に対する感覚を読み取ることもできる。エコ・コンシャスな現在の視点から読み直せば、ギリシアの自然をあらためて見直すガイドとしての価値も高いだろう。

40年代に英軍に従軍しロドス島に派遣されたダレルは『海のヴィーナスの思い出』を著している。そして50年代には、英語教師としてスペツェス島に赴任したジョン・ファウルズの『魔術師』など、ギリシアに魅了された作家たちは、名作という形で当時のギリシアの風景を今日に伝えてくれる。

This excerpt originally appeared in Papersky No.17 (Greece).

【もっとギリシアを知るための6冊の本】

雨天炎天 ギリシャ・トルコ辺境紀行 / 村上 春樹 著
マルーシの巨像 / ヘンリー・ミラー著 金沢智 訳
ギリシアの誘惑 / 池澤 夏樹 (著)
世界歴史の旅 ギリシア / 周藤 芳幸 編
ふたたび十字架につけられるキリスト—ギリシャ・キリスト受難劇 / ニコス・カザンザキス 著 児玉 操 訳
世界歴史の旅 ビザンティン / 益田 朋幸 著

Tags:









ラフカディオ・ハーンが生まれた島・レフカダ島

イオニア海に浮かぶレフカダ島は、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの生誕の地。彼のラフカディオという名… »STORY

GREECE

ギリシア、クレイジーで愛嬌のある国(No.17)

ギリシアについて、きみはなにを知ってる?--これは僕が旅に出る前、ありとあらゆる人たちに訊きまわった… »STORY

place
Athens

© 2008-2018 Knee High Media. All Rights Reserved.