papersky no.31

生活に溶けこむデンマークデザインの家具

デンマークを語るうえで欠かせないのが、アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナー、ボーエ・モーエンセンといった世界的にも有名な家具デザイナーの存在。なかでもヤコブセンはデンマークでも人気で、家具以外に建築も手がけている。たとえばチボリ公園そばにある、ラディソンSAS ロイヤルホテル。この建築物は、家具だけでなく、照明器具、カトラリー、ドアの取っ手にいたるまで、すべてがヤコブセンのデザインによるもの。そのほか、ガソリンスタンド、デンマーク国立銀行、ベルビュービーチの海水浴場など、この国のあちこちで彼の軌跡を見ることができる。

デンマークのデザインについてもっと知るために、ファニチャーブランド、フリッツハンセンにも足を運んだ。フリッツハンセンは、前述したヤコブセンのほか数多くのデンマーク人デザイナーを起用し、“名作”と呼ばれる家具を多数生みだしてきた。話を聞いたセシルさんもまた、フリッツハンセンからオーダーを受け家具をデザインしたひとりだ。「私がデザインで重視しているのは、日常のなかに溶けこむようなものをつくるということ。主張しすぎず、でもしっかりと芯がある。簡単そうに聞こえるけど、これがすごく難しいんです」
そんな彼女が手がけたというテーブルは、余計な要素をいっさい廃したシンプルの極みにあると言っていい。しかし、同時にどこかホッとするやわらかさをもちあわせてもいる。デンマーク工芸博物館のキュレーター、ウッラさんは館内を案内しながらこんなことを話してくれた。「デンマークには資源がありません。でも、粘土と木は豊富にあるんです。つまり、デザイナーが育ちやすい環境が整っているのでしょうね」

This excerpt originally appeared in Papersky No. 31 (Denmark).

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