Photo: Takeo Okuma
パイル手芸社のぬいぐるみ
もう10年くらい前、とある雑貨屋さんの棚で見つけた象のぬいぐるみ。どこか頼りなくて弱々しいけど何か訴えているようだったので思わず購入した。由来も何もわからない。昭和40年代に上野動物園で売られていたらしいと店員さんは教えてくれた。
それから月日は経ったある日のこと、友人が僕の好きそうなぬいぐるみを持っているので見せたいと家にやってきた。見せてもらったのはマレーバクやカバのぬいぐるみ。友人の予想通り僕はすぐにそのぬいぐるみを気に入ってしまったのだが、待てよ、これはどこかで見た事あるような…そうだあの象と同じぬいぐるみではないか?すぐにその友人に見せると確かに同じシリーズの子像だよと教えてくれた。やっぱり!
友人の話ではこれはかつてパイル手芸社という会社がつくっていたぬいぐるみのシリーズで、動物の骨格の研究から始めたというほどこだわった作りのものだった。確かに素朴なようでよく見ると体のラインなどとてもリアルにできている。素材は綿別珍の布の中に桐の粉がつめてあるそうだ。僕は他の動物も欲しいと思ったのだが、なんとその会社は随分前に無くなっているという。
原因は昭和40年代後半に来日?した2頭のジャイアントパンダ、カンカンとランランの登場である。空前のパンダブームが起こり、ぬいぐるみも毛足の長いふわふわしたアクリル糸を使ったものがすっかり主流になってしまったからだ。
かくしてこのかわいいぬいぐるみたちは姿を消してしまった。友人はそれを復刻するプロジェクトに奔走していたのだが、結局技術的にも、コスト的にも難しいということになり計画は断念してしまった。今日もまた日本のどこかで、優れた技術が失われているのだろう。早く見つけにいかなければ!



































