Slide Photo × 2 / Photo: Kaori Ikenag

受け継がれる長崎凧の技と遊び

長崎では、凧のことを「ハタ」と呼ぶ。長崎県風頭町にある小川凧店は、この地ならではの伝統的な凧作りを受け継ぐ唯一の店だ。大小カラフルな凧が所せましと吊るされた店内では、店主の小川暁博さんが、来年の寅年用に、寅模様の凧作りに励んでいるところだった。長崎凧は、1600年代、出島に渡来したオランダ人が持ち込んだインドネシアの凧から発展したものといわれていて、形は菱形、色は赤,青、白の3色。小川さんの店では、和紙は白紙のものを仕入れ、色を染めるところからすべて手作りしている。伝統的な日本の技を受け継ぎながらも、その色使いはオランダの国旗に由来し、デザインには船の信号旗や家紋、中国の漢字や動植物の模様に似たところがあるなど、実は国際的なバックグラウンドを持っている。

毎年4月にはハタ揚げ大会が行われ、長崎の伝統的な行事として今でも多くの人々が集まる。その光景は「けんかバタ」と呼ばれているように、子どもが凧揚げをするようなのんびりしたものではなく、凧同士を激しく競り合わせて相手の糸を切って落としたものが勝ちという荒々しいものだ。それだけに、凧の作りや糸の強度はしっかりしたもので、糸は簡単には切れないように、ビードロ(ガラス粉)が付けられている。

「いまどきの子どもは凧なんか知らんですもん。遊び方ば知らんけん。凧で遊ばんでしょ?」と、小川さんはこうした伝統を取り巻く状況の厳しさをよく知っている。しかしそうした中で、小川さんは、請われればお客さんに凧の説明をしたり、凧の作り方も教える。修学旅行生にも、店の横の風頭公園で凧の揚げ方を教える。「凧の揚げ方のわからん人には売っちゃいけん、という気がする」という小川さん。ただ壁の飾りになってしまうようなものを売れない、と。それが、作り手の誇りだ。

小川凧店 おがわはたてん
長崎県長崎市風頭町11-2
Tel: 095-823-1928
9:00-18:00 無休

English »
Keeping the Nagasaki Tradition Alive


小川凧店

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